ディーゼルハンマは、杭打ちに使用する機械の中でもかなり昔から存在するもの。他の機材や工法への切り替えによって出番は少なくなったものの、未だにそのパワーは健在です。
この記事では、ディーゼルハンマのメリットとデメリットを解説します。
1 ディーゼルハンマのメリット
1-1 杭を打つパワーの力強さ
ディーゼルハンマの杭を打つパワーは強力です。一時期は、その力強さからディーゼルハンマは杭打ちの定番機械となっていました。
現在はもっと騒音や振動の少ない工法が開発されていますが、そのパワーは今も健在です。
1-2 構造が簡単で、扱いが容易
ディーゼルハンマは昔から存在する建設機械。構造が簡単で扱いやすいのが特徴です。
複雑な機械に比べてトラブルも起こりにくく、メンテナンスや万が一の際の修理も簡単です。
1-3 掘削が必要なものと比べて、土砂や泥水の処理がほとんど必要ない
「中堀り杭工法」のように、杭を打つ場所をくり抜きながら杭を埋め込んでいく工法も存在します。
しかしこの場合、くり抜いた泥水や土砂の処理が別途必要になります。
ディーゼルエンジンを使った打撃工法で杭打ちを行う場合には、こうした余分な処理が必要ありません。
ただ杭を打ち込むという単純な工法を選べるので、費用や日数の面でのメリットを実感することができます。
2 ディーゼルハンマのデメリット
2-1 騒音・振動が大きい
ディーゼルハンマを用いて杭打ち工事を行った際、工事敷地境界では80デシベルほどの騒音が発生します。
これは救急車のサイレンを間近で聞くほどの音量。30センチの距離でギリギリ会話ができるレベルだとも言われています。
また、ディーゼルハンマを使用している場所から7メートルほどの場所では、振動レベルにして80デシベルほどの揺れを感じると言われています。
これは、屋内で普通に生活していても揺れを感じるレベルです。
こうした騒音・振動の問題ゆえに、住宅が立ち並ぶ環境の中でディーゼルハンマを使用するのは困難です。
騒音が少ない他の工法への切り替えが求められる場合も多くなっています。
2-2 ディーゼルエンジンからの排ガス
ディーゼルハンマは、数トンもの重りを振り上げるために多くの燃料を消費します。
その結果、排気ガスも大量に排出します。住宅街などでは、このデメリットも見逃せません。
ディーゼルエンジンに代わる杭打ちの機械として、排ガスの出ない「油圧パイルハンマ」と呼ばれるものもあります。こうしたものを用いることもできます。
2-3 コンクリート杭が砕ける危険
厚い砂や粘土の層では、コンクリート杭が層を打ち抜けず砕けてしまう危険があります。強度が確保されないため、これは命取りとなります。
その際には素材の違う杭を使用したり、違う工法を採用したりする必要があります。
3 まとめ
ディーゼルハンマを用いた杭打ちは力強く、またコストや手間を全体的に抑えられるというメリットがあります。
一方、騒音・振動や排ガスといった近隣住民に及ぼす影響も考慮する必要があります。
杭が砕けてうまく刺さらない危険もあるので、ディーゼルハンマを使用する際には地盤などの兼ね合いを考える必要もあります。