深層混合処理工法って何?概要と使用機械の特徴を解説

深層混合処理工法

皆さん、深層混合処理工法という工法を聞いたことはあるでしょうか。

この工法は様々な工事現場で使用されており、専用の機械を用いて施工を行います。

今回はそんな深層混合処理工法の概要とどのような機械を使って工事しているのかについて解説していきたいと思います。

そもそも深層混合処理工法とは?

深層混合処理工法とはどういった工法でしょうか。深層混合処理工法とは地盤改良の一種です。

地盤改良とは名前の通り、軟弱な地盤に対して改良を行うことで地盤の強度を上げる工法をいいます。

なぜ地盤改良を行う必要があるかというと、軟弱な地盤の上に構造物を造る際に地盤の沈下やすべりによる倒壊などの恐れがあるためです。

地盤の強度を高めることで安全な構造物を造ることが可能です。

次に、深層混合処理工法ではどのように地盤改良を行うのか説明していきます。

深層混合処理工法はセメント系固化材と水を混ぜた「スラリー」を地盤に注入しながら土と混合撹拌(混ぜ合わせる)することで地盤の強度を高める工法です。

軟弱な土にセメントを混ぜるということで強度を高めることができるのです。ちみなに、中層混合や浅層混合という名称の工法もありますが改良する深さで名前分けがされており基本的には同じ工法を指しています。

一般的に改良深さが10m超えると深層混合という名称になります。

深層混合処理工法の施工方法は?

深層混合処理工法の施工方法は以下の通りとなります。

  • 混合撹拌機械を用いて改良材を吐出しながら掘削していきます
  • 所定の深度まで掘削を完了させます
  • 撹拌しながら引き上げを行います
  • 撹拌した改良体が固化すれば地盤改良の完了です

深層混合処理工法の特徴は?

クレーン装置付トラック

では深層混合処理工法はどのような特徴があるのでしょうか。メリット・デメリットを説明していきます。

メリット

  • 杭工法などに比べて作業効率がよく、低コストで施工が可能です
  • 低騒音・低振動で周辺環境に配慮した施工が可能です
  • 地盤そのものを改良するため沈下対策として有効です
  • 施工実績が豊富で類似した工事で適用することができます
  • 施工機械が比較的軽量なため、周辺の地中変位量が少ないことから構造物に対しての近接施工が可能です

デメリット

  • 地下水位が地盤改良範囲より高い場合、混合撹拌ができないもしくは改良材が大量に必要となります
  • 改良する土質によっては改良後に有害物質である六価クロムが溶出してしまい周辺環境へ悪影響を与える可能性があります
  • セメントを混ぜるため、余分なヘドロは産業廃棄物として処分が必要となり環境の観点では問題があります

深層混合処理工法に使用する機械は?

次に深層混合処理工法に使用する機械を説明していきます。

深層混合処理機

こちらは名前の通り、混合撹拌するために地盤を掘削してセメント系固化材を吐出する機械です。

2軸式が主流であり、2本の杭形状をした機械で掘削していきます。

単軸式であれば1本、3軸式であれば3本で施工を行います。施工する改良深度や改良径に合わせて機械の大きさを設定します。

バックホウ

バックホウとは簡単にいうとショベルカーです。ショベルの部分が手前に稼働するものをバックホウといいます。

深層混合処理工法の場合、このバックホウはベースマシンとして先端にショベルではなく、深層混合処理機を取り付けて掘削します。

撹拌する大きさ・深度によりバックホウの大きさも変える必要があり、深く大きくなるほど大きなバックホウが必要となります。

セメントスラリープラント

セメント系固化材を造るためのプラント(工場)です。

一般的に施工場所の近くに簡易のプラントを造り、そこでセメント系固化材を必要な数量を準備します。

プラントは深層混合処理機につなげて施工することで、深層混合処理機からセメント系固化材の吐出を行うことが可能となっています。

まとめ

深層混合処理工法の概要、使用機械を説明いたしました。

安全な構造物を施工するためには深層混合処理工法による地盤改良が必要だとお分かりいただけたかと思います。

深層混合処理工法は建設現場でよく使われている工法ではありますが、皆さんが普段目にすることは少ないかと思います。

工事現場で地中を掘削しているような場合、深層混合処理工法を行っているかもしれませんので少し気にしてみていただけると嬉しいです。

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