スキッドステアローダって何?特徴と使い方・注意点を解説

スキッドステアローダとは何でしょうか。

外見はホイールローダとよく似ていますが、違いは何でしょうか。

ここではスキッドステアローダの特徴と使い方・注意点を解説します。

ホイールローダと似ているが異なるスキッドステアローダ

スキッドステアローダとは広い意味ではホイールローダの一種で、車輪を駆動して走行し、重量物の運搬作業などを行う作業用機械です。

見た目はホイールローダと似ていますが、旋回方法が全く異なり、ステアリングホイールはついておらず、左右のレバーを操作して走行・旋回します。

その旋回する姿はまるで戦車のようで、限られたスペースでもきびきびと動き回る姿は精悍です。

また、一部にはクローラを装着して走行する車種も存在します。

このような独特なメカニズムを持つスキッドステアローダの特徴などを順に見てみましょう。

スキッドステアローダの特徴

スキッドステアローダは旋回方法が最も特徴的です。

走行スピードはあまり出ませんが、低速走行で重量物を運搬したり、さまざまなアタッチメントを装着しての作業を得意としています。

以下で、スキッドステアローダの特徴をそれぞれ詳細にご紹介します。

アメリカで開発されたスキッドステアローダ

スキッドステアローダは1960年に当時のメルロー社が初めて開発・発売し、社名と製品名を「Bobcat」に変更して普及に努めました。

現在でもボブキャット・カンパニーとして存続しており、創業以来スキッドステアローダを生産し続けています。

そのこともあって、現場ではスキッドステアローダのことを「ボブキャット」という通称で呼ばれることもあります。

現在では世界各国の農機・建機メーカーなどがスキッドステアローダを生産しています。

独特な旋回方法

スキッドステアローダは、「スキッドステア方式」と呼ばれる独特の旋回方法によって方向転換することが最も大きな特徴です。

ハンドルを回すことによる旋回ではなく、左右それぞれのレバーを操作し、両輪の回転数の違いや回転方向の違いによって旋回します。

「スキッドステア方式」は非常に小回りが利き、車体の全長ほどのスペースがあれば旋回できるため、狭い場所でもきびきびと作業することを得意としています。

独特のメカニズム

「スキッドステア方式」を実現するためのメカニズムは、他の自動車のようなデフがなく、左右両輪をチェーンでつないでいることが特徴です。

両輪の動きは独立しており、左右どちらか一方の車輪だけを回転させることもでき、さらに互いを逆回転させることもできます。

ただしスキッドステアローダには通常、変速機能がないので、一定以上の速度を出して走行することはできません。

また、アームを高く掲げることができることもスキッドステアローダの特徴で、コンパクトなボディながらトラックの荷台へも楽に資材を載せることができます。

ホイールローダとの違い

スキッドステアローダは上記のようなメカニズムを持つため、ホイールローダのようなステアリングホイールがなく、前輪が方向を変えることもありません。

そのため運転感覚が乗用車に近いホイールローダとは異なり、ショベルカーやコンバインのような運転感覚となります。

ホイールローダと比べると駆動部分が比較的少ないため構造が簡単で、価格やメンテナンスの面でメリットがあります。

他の重機に比べると小型で安価

スキッドステアローダは、その構造ゆえに車幅やホイールベースを大きくすることができないため、小型のモデルが多くなっています。

大型化できなかったことが、結果的に小型で小回りが利く特徴を活かすことにつながり、ホイールローダとの棲み分けが可能になっています。

また、スキッドステアローダは構造が簡単なために比較的安価で手に入れることができることも特徴で、個人経営の牧場の資材運搬作業などで非常に重宝されています。

さまざまなアタッチメントを使用できる

スキッドステアローダには非常に多くのアタッチメントが用意されています。

通常使用するバケットはもちろん、農業・畜産用の特殊な形状をしたものや、園芸・造園用、除雪用などさまざまなものがあります。

車両を販売する正規代理店が扱うアタッチメントのみならず、アタッチメントを専門に製造している企業もあり、オーダーメイドを受注してくれるところもあります。

公道を走ることも可能

スキッドステアローダはナンバープレートを取得して公道を走行することも可能です。

その場合は小型特殊自動車または大型特殊自動車のいずれかの分類になり、対応する運転免許が必要です。

公道を走ることが可能なモデルとして、ミラーやウインカーなどがあらかじめ装備されているモデルも販売されています。

スキッドステアローダの使い方

モンケン

スキッドステアローダはその独特なメカニズムのため、運転方法もホイールローダや乗用車などとは異なります。

また、さまざまなアタッチメントを装着することによって、能力を最大限に活かすことができます。

以下で、スキッドステアローダの使い方をそれぞれ詳細にご紹介します。

左右のレバーで操作

スキッドステアローダは、ホイールローダや乗用車のようにアクセルペダルやステアリングホイールがなく、運転席の左右に設置されたレバーの操作によって走行・旋回します。

旋回するときは左右の車輪の回転数の差によるか、または左右の車輪を逆回転させて行います。

操作感覚としてはショベルカーやコンバインに近いものがあります。

バック操作より旋回を多用する

スキッドステアローダは旋回性能が高いため、バック操作はあまり使用しません。

その場での旋回が可能なために、方向転換するためのスペースを必要としないからです。

安全面を考えてもバック操作をしなくて済むことはメリットの1つです。

日本での用途は限られた場所のみ

スキッドステアローダは日本では通常見かけることは少なく、限られた場所でのみ使用されています。

最も多く使用されているのは大規模な農場や牧場などの畜産業であり、次いで産廃処理場、工場など限られたスペースで小回りが求められる場所でも使用されています。

また、スキッドステアローダは林業でも使用されており、山間部でも見かけることがあります。

さらにスキッドステアローダは除雪にも活躍するので、寒冷地ではミニホイールローダとともにその姿が時々見られます。

アタッチメントを用途に合わせて交換

スキッドステアローダには非常に多くのアタッチメントが用意されているため、用途に合わせて交換することによって、適切な作業を行うことができます。

日本ではスキッドステアローダは農業・畜産業界で最も多く使用されており、牧草を集めるための特殊な形状をしたアタッチメントなどが存在しています。

正規代理店の販売するアタッチメントだけでもかなり多くの種類がありますが、アタッチメントの製造を専門に行っている企業もあるので、多くの選択枝があり便利です。

スキッドステアローダの注意点

スキッドステアローダはホイールローダや乗用車とは異なる運転感覚を持つため、運転するにはいつくかの注意点があります。

以下で、スキッドステアローダの注意点をそれぞれ詳細にご紹介します。

摩擦係数の高い場所は苦手

スキッドステアローダは左右の車輪の回転差や回転方向によって旋回しますから、必然的に車輪をある程度滑らせることになります。

そのため、摩擦係数の高い場所での方向転換をやや苦手としています。

視界が比較的悪い

スキッドステアローダは独特なメカニズムのため、通常走行時にはアームが車体の左右に配置されているので、運転席に乗り降りするためには前方から乗り込む必要があります。

そのため、運転席から左右への視界がややさえぎられており、慣れるまでは走行しながら周囲の状況を確認することが困難です。

特に公道を走行する場合はこの点が危険で、十分な注意を払って走行しないと大きな事故につながります。

バックはなるべくしない

スキッドステアローダはなるべく後退走行をしないことが推奨されています。

なぜなら、その場で旋回が可能なため、あえて危険な後退走行をする必要がないからです。

それに加えて、スキッドステアローダの構造上、周囲を見渡す視界があまり良くないので、旋回能力を活かして方向転換したほうが安全に作業することができます。

まとめ

スキッドステアローダは日本では限られた場所でしか使用されていませんが、ホイールローダとも違った特徴を持っており、独特の存在感を主張しています。

特に旋回性能は特筆すべき点であり、悪路や限られた場所できびきびと動き回る姿は愛らしく魅力的です。

作業車として確かな地位を確立しているスキッドステアローダは、今後もますます進化していくことが期待されています。

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