皆さん、ボーリングマシンという名前を聞いたことはあるでしょうか。
ボーリングと聞くと、ボウリング場で行うスポーツとしてのボウリングを思い浮かべる方がほとんどだと思います。
そのため、スポーツのボウリングに使う機械なのかなと思うかもしれません。しかし、建設業でいうボーリングとは皆さんが想像しているボウリングとは違います。
今回はそんなボーリングマシンについて、特徴や使い方などについて、解説していきたいと思います。
はじめに
はじめに、建設業でいうボーリングとは「地質調査」のことを指すのが一般的です。地質調査とはその名の通り、トンネルや構造物を造るために地質状況を把握する目的で行う調査のことをいいます。
地質調査をボーリングと呼ぶ理由は、地質調査では穴を掘って地質を確認することから「突き通す、穿孔」などを意味する英語「ボーリング(boring)」が由来となっています。
ではボーリングマシンの意味は?というとそのままの意味です。地質調査を行うための穴掘りマシンのことをボーリングマシンと呼ぶのです。
では引き続き、ボーリングマシンがどういったマシンなのか説明していきます。
地質調査の目的は?
ボーリングマシンでは地盤に円筒状の穴を掘って地質を確認していきます。なぜ地質を確認する必要があるのかというと、構造物を造る際、構造物を造るために設計を行う必要がありますが、地質の状況がわからなければどんな構造にすればいいのか設計者も判断することができません。
例えば、建物の基礎となる杭の延長を決めるのに、どこまで深く打ち込めばよいのか判断するのに地質調査は必要なのです。
他にも、トンネルを掘るにはどんな地質が出てくるかわからなければ掘削方法を決めることもできません。そのため、地面下数m~数十mの地質状況を確認して、できるだけ合理的な設計を行うためにも地質調査は必須となります。
また、地質調査はある一点を直径数㎝で穴を掘っていくので、点での地質状況しか確認できないこともあり、調査を行う際は構造物にもよりますが数か所、数十か所を調査することもあります。
ボーリングマシンの概要
続いてボーリングマシンの概要について説明していきます。まず、ボーリングを行うための作業スペースとして、5m四方で高さ5mほどのスペースが必要となります。
クレーン付きのトラックなどでボーリングマシンを搬入してやぐらと呼ばれる土台にマシンを設置します。設置が完了したのち、ボーリングマシンの先端に取り付けた「ビット」と呼ばれるドリルをエンジン駆動により回転、打撃させながら掘っていきます。
この時、エンジンの回転力を伝えたり、先端の摩耗量を低減するための送水を行う役割を持つ、「ロッド」と呼ばれる中の空いた鋼管を用いて掘っていきます。
さらに、地質を掘るだけではどのような地質なのか確認ができませんので、「コアチューブ」というコア(観察するために取り出した地盤)を収納する機具も用います。これらの器具を組み合わせてボーリングマシンとして使用されています。
ボーリングマシンは掘る以外に何ができるのか?
ボーリングマシンでは地質を掘って取り出す以外にも、さまざまな調査を行って地盤の特性を把握できるようになっています。
地盤の硬さを判定する「標準貫入試験」、地下水位を測定する「地下水位測定」、その他室内試験など各種試験結果と取り出したコアを合わせて観察することで、どのような地質なのか判断していきます。
他にも、ケーシングという塩化ビニル管を穴に入れておくことで、水位の変動を掘削後も確認できるようにすることもできます。このようにボーリングマシンは様々な調査を行うためのマシンとして活躍しているのです。
ボーリングマシンの注意点は?
次にボーリングマシンを使用する際の注意点です。ボーリングマシンは地質調査を行うために欠かせない機械ですが、使い方を間違えると大きな事故につながりかねません。
特に多いのが地中の埋設管や構造物へ損傷を与えてしまう事例です。地中には水道管、ガス管など損傷を与えてしまうと大きな災害となりえる構造物がたくさん埋まっています。
そのため、ボーリングマシンで地中を掘る前に埋設管などが埋まっていないか確認を行ったうえで使用する必要があります。
他の事例として、エンジン駆動部分に服の袖などを巻き込まれる人身事故などがあります。このようにボーリングマシンを使用する際は事前の確認や作業中も注意を払って使用する必要があるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ボーリングマシンがさまざまな工事現場で使用されていることがお分かりいただけたかと思います。
ボーリングマシンを直接見る機会はあまりないかもしれませんが、地質調査を行ううえで欠かせないマシンだということを知っていただければ幸いです。