ミニ油圧ショベルの特徴を解説

ミニ油圧ショベルの特徴

油圧ショベルの小型のもので、ミニ油圧ショベルと呼ばれるものがあります。

建設工事で使用される巨大な油圧ショベルと比べると華奢な印象ですが、どんな実力を秘めているのでしょうか。

ここではミニ油圧ショベルの特徴などを解説します。

知っておきたいミニ油圧ショベルの特徴や使い方、注意点

油圧ショベルにはさまざまな呼び方があり、ユンボやバックホー、ディガー、パワーショベルなどとも呼ばれることがあります。

それらは呼び方が異なっていても全て同じ建設機械を指し、掘削機の一種です。

ここでは「油圧ショベル」の呼び方で統一しています。

その中で、一般的に車両重量が6トン未満でバケットの容量が0.25㎥未満のものが「ミニ油圧ショベル」と呼ばれています。

ミニ油圧ショベルの特徴から、使い方や注意点までを順に見てみましょう。

ミニ油圧ショベルの特徴

ディーゼルハンマ

ミニ油圧ショベルが誕生するまでは、ショベルというものは通常大型のものであり、大規模な作業をすることを目的に使用されていました。

各メーカーが競って新製品の開発を行ってきたために、油圧ショベルは性能がどんどん向上し、コンパクトでも高性能なミニ油圧ショベルが誕生したのです。

そんなミニ油圧ショベルの特徴を、それぞれ詳細にご紹介します。

油圧ショベルの歴史

油圧ショベルに現在のような小型のモデルが導入される以前の昭和初期には、アーム式ではなくケーブルの巻き上げによってバケットを操作するショベルが使用されていました。

現在でも川底などの砂利の採取作業に使用されており、時々その姿を見ることができます。

ケーブルを使用したショベルは繊細な動きができないため、それに代わって登場したのが油圧ショベルであり、世界初の油圧ショベルはイタリアで開発されました。

油圧でアームを動作するショベルは、従来のケーブル式のショベルではできなかった細かい作業が可能になり、あっという間に世界中に広まりました。

油圧ショベルは道路工事や宅地開発などの土木工事や、鉱山などで幅広く使用されるようになり、各メーカーが競って製造したため、性能もどんどん向上していくことに。

性能が向上していったのと同時に、大型のものから小型のものまでさまざまなサイズの油圧ショベルが開発されるようになりました。

ミニ油圧ショベルはそのような流れで誕生し、現在は道路工事や農作業、水道工事などに使用され、特に狭い場所でその能力を発揮しています。

小型で高性能なミニ油圧ショベル

ミニ油圧ショベルは、標準的なサイズの油圧ショベルと比べるとかなり小型で、かわいらしい印象を受けます。

しかし、その小柄な機体には大きな力を秘めており、小型なゆえに動きは機敏で、建設工事などの効率化に大きく貢献しています。

ミニ油圧ショベルの中でも大型のモデルは重量が5トン以上あり、決して非力ではなく、特に道路工事で活躍しています。

側溝を建設するための掘削などは繊細な作業が求められるため、力強さと繊細さを兼ね備えたミニ油圧ショベルはとても重宝しています。

また、ミニ油圧ショベルの中でも特に小型で、重量が1トン未満のモデルは、マイクロショベルと呼ばれることもあります。

マイクロショベルならば小型トラックに積載して運搬することもできるので、気軽にさまざまな場所へ移動することができ、作業もはかどるのです。

市街地など狭い場所での作業に特化した性能

ミニ油圧ショベルが最も力を発揮する場所は、限られたスペースの中で掘削工事を必要とされる場面です。

特に一方通行の道路などでは大型の油圧ショベルは入ることすらできず、また旋回半径も限られてくるので、ミニ油圧ショベルは欠かせません。

近年のミニ油圧ショベルは、360度どの角度にも旋回できる「全旋回」の機能を持っているので、小柄な機体とともに狭い場所の作業に特化したモデルといえます。

最新型モデルに搭載されている便利な機能の数々

油圧ショベルには従来、無骨な建設機械のイメージがありましたが、近年はハイテク機能が満載になっており、より快適に作業することができます。

例えば、燃料の消費を抑えるための機能がいくつか搭載されていることや、従来よりも柔軟な動作ができるようにアームの工夫がなされています。

安全面に配慮した機能も充実しており、ちょっとした気のゆるみがもたらすミスを防ぎ、大事故につながるケースを激減させることに成功しています。

特に、油圧作動部分の誤動作を防ぐセーフティロック機能や、万が一の転倒時や重量物落下時にも運転手の身を守る頑強な運転席などが備えられています。

また、狭い場所での細かい移動の際に便利な、電子制御フルオートマチックパワーシフトを備えているモデルは、変速の動作が不要になるので便利です。

移動式クレーンとしても使用できる

ミニ油圧ショベルに限ったことではありませんが、油圧ショベルは移動式クレーンとしても使用することができます。

バケットに荷を吊るすことによって持ち上げることができるため、クレーンのような作業をこなすことができるのです。

ただし、労働安全衛生法によって定められた吊り荷作業のみ行うことが可能で、専用のフックを使用する必要があり、それ以外の方法は禁止されています。

油圧ショベルの繊細な動きにより、荷を設置したい場所に正確に降ろすことができるので、道路工事などでは油圧ショベルの重要な役目の1つとなっています。

環境に配慮した機能の数々

ミニ油圧ショベルは年々性能が向上しており、近年では特に環境に配慮したモデルが多数導入されています。

燃料の消費を抑える機能もその1つで、負荷のかかっていないときには自動的にエンジンの回転数を下げ、消費燃料を抑えます。

近年では、より高性能なフィルターを装備して、すすが排出されることを極限まで抑えることに成功しているモデルが導入されています。

騒音の抑制もなされており、近隣住民に配慮した環境に優しい建設機械のイメージを作っています。

ミニ油圧ショベルの使い方

杭打ち機

ミニ油圧ショベルは特に狭い場所での作業に特化しており、市街地の細い道路の工事や、過密な住宅地での配管工事などに使用されています。

また、大型の油圧ショベルを使用するほどではない場面でも多く使用され、農林業や造園業などでも活躍しています。

以下で、ミニ油圧ショベルの使い方をそれぞれ詳細にご紹介します。

狭い市街地での道路工事

ミニ油圧ショベルは、特に都市部の狭い道路を工事するときには不可欠で、小型で現場までの運搬が容易なこともあり、その機動力の高さも発揮します。

一方通行で自動車1台通るのがやっとの細い道路でも、ミニ油圧ショベルならば問題なく作業することができます。

住宅が密集する地域では、工事場所の周囲の住宅を傷つけないように細心の注意を払って作業する必要があり、熟練のオペレーターの腕の見せ所です。

また道路工事では、時に地中の電話線を傷つけないように繊細な掘削作業が求められることもあり、細かい作業が得意なミニ油圧ショベルの能力が発揮される場面でもあります。

敷地の狭い住宅での水道工事

ミニ油圧ショベルは水道工事業には欠かせない建設機械で、その機体サイズはまさに水道工事にうってつけです。

水道工事は狭い敷地での作業を求められることが多く、かつ大型の油圧ショベルまでは必要としないので、ミニ油圧ショベルの1つの得意な作業となっています。

地中での配管工事を行うため、雑な作業を行うことはできず、丁寧な作業が求められることも、より繊細な作業が可能なミニ油圧ショベルの能力が発揮される場面です。

ミニ油圧ショベルは、私たちの生活に欠かせない上下水道の配管工事という重要なライフラインを守る役目を担っています。

農業や林業、造園業などの簡易な掘削工事

ミニ油圧ショベルは農業や畜産業、林業、造園業でも使用されており、大型の油圧ショベルを使用する必要はなくとも掘削の作業を行いたいときに重宝します。

農業においては新しい耕作地を作るときの整地や、あぜ道を作るときなどに活躍します。

畜産業では放牧地の管理に使用されることがあり、簡易な水路を作ることもできるので、牧場の灌漑に役立ちます。

林業でも植林の際に整地をする必要があり、ミニ油圧ショベルがあると作業が大幅に効率化されます。

造園業では、一般家庭の庭の構築から大規模な庭園の管理まで、幅広くミニ油圧ショベルが使用されています。

庭石を設置するときの整地や、庭木を植えるときの地面の掘削にはミニ油圧ショベルは欠かせません。

また、ゴルフ場でも整地のために使用されることがあります。

ミニ油圧ショベルの注意点

ミニ油圧ショベルは小柄な機体に似合わずパワフルで、非常に使い勝手の良い建設機械ですが、使用にあたってはいくつかの注意点もあります。

特に安全面には十分すぎるほど注意して作業を行わなければなりません。

以下で、ミニ油圧ショベルの注意点をそれぞれ詳細にご紹介します。

無理な運転を避ける

ミニ油圧ショベルは大きな力を持つ建設機械で、それに見合った頑丈な構造で造られていますが、過度な負荷をかける運転は避けなければなりません。

例えば、走行しながらの掘削作業は機体の各部分に大きな負荷がかかり、機体の寿命を縮めることになります。

その他、バケットを地面に叩きつけたり、油圧シリンダーを限界まで伸ばした状態で強い負荷をかけるなどの作業も機体に大きなダメージがあるため、行わないようにしましょう。

ゴムクローラーと鉄クローラーの違いに注意

油圧ショベルのクローラーにはゴム製と鉄製があり、ミニ油圧ショベルではゴム製のほうが多く採用されています。

注意しなければならないことはゴムクローラーと鉄クローラーの耐久性の違いで、同じような走行をしているとゴムクローラーの寿命を縮めてしまいます。

ゴムクローラーには鉄クローラーにはないメリットがある代わりに、耐久性は劣るため、ゴムを損傷するような走行は慎まなければなりません。

例えば、硬くて荒れている岩盤の上や、鉄くずが散乱しているような場所はゴムクローラーで走行することは避けたほうが無難です。

小型といっても決して安価ではない

ミニ油圧ショベルは建設機械の中では小型ですが、それでも決して安価な機械ではなく、購入するためには多額の資金が必要になります。

特に個人で所有することはなかなか難しく、中古の機体であっても最低100万円以上はかかると想定しておかなければなりません。

それだけの資金をかけるだけの大きな能力を持っていますが、使用頻度や使用目的など、コストに見合っているかを十分に検討してから購入する必要があります。

作業を行うには講習の受講が必要

ミニ油圧ショベルを運転して作業を行うためには、労働安全衛生法で定められた「車両系建設機械運転技能講習」を受講することが義務付けられています。

小型とはいえ、ミニ油圧ショベルは大きな力を持っている建設機械であり、使い方を誤ると大事故につながるため、専門的な知識と運転技能を習得する必要があります。

建設工事では何よりも安全が最優先されるので、簡単な作業でも甘く見ることをせず、大きな責任を負っているのだということを自覚して作業に臨まなければなりません。

まとめ

ミニ油圧ショベルは小型でもパワフルで、建設現場のみならず多くの場所で活躍しています。

使用するにあたって注意する点もいくつかあり、小型だからといって軽い気持ちで運転することは重大な事故につながるので、専門的な知識を習得する必要があります。

この記事を参考にミニ油圧ショベルの特徴をつかみ、理解することにより、その能力を最大限に発揮させることができるでしょう。

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