建設用リフトのメリットデメリットを解説

建設用リフトのメリットデメリット

建設用リフトは高層ビルや地下設備の建設に欠かせない機械です。

多くのメリットがあり、世界中の建設現場で活躍している反面、デメリットもあります。

ここでは建設用リフトのメリットとデメリットを解説します。

知っておきたい建設用リフトのメリットとデメリット

建設用リフトは、人を乗せずに物資のみを載せて運搬するための機械で、街の中でもビルの建設現場ではよく目撃します。

また、地下や海中など人目に触れない場所でも多くの建設用リフトが活躍しており、インフラの整備など、私たちの生活を支える重要な役割を果たしてきました。

そのような建設用リフトを運転するためには専門的な知識が必要で、運転士は大きな責任を負っており、何よりも安全が最優先されます。

メリットとデメリットを併せ持った建設用リフトは、その特性をよく理解することによって能力を引き出し、安全で効率の良い作業を行うことにつながります。

建設用リフトのメリットとデメリットを順に見てみましょう。

建設用リフトのメリット

鉄道クレーンのメリットデメリット

建設用リフトにはたくさんのメリットがあり、ビルの建設現場で同じような役割を担っているクレーンに対しても優れている点があります。

建設用リフトは複雑な動きをしないため操作が簡単で、工事期間終了後は取り外しもできるため、非常に使い勝手の良い機械であるといえます。

以下で、建設用リフトのメリットをそれぞれ詳細にご紹介します。

頻繁な運搬に向いている

建設用リフトは高層ビルの建設工事に使用されるため、一見するとクレーンと役割がかぶっているようにも思えます。

しかしクレーンは重い荷を運ぶことに適しており、建設用リフトは比較的軽い荷を頻繁な往復で運ぶことに適しているため、得意な作業が異なります。

クレーンで運ぶほどではない小さな荷は、大量に燃料を消費してクレーンで運ぶより、建設用リフトで運搬するほうがはるかに効率が良いのです。

これにより、クレーンの無駄な燃料の消費を防ぐことにつながっており、工事にかかる費用の削減にもつながっています。

高層ビルの建設現場では建設用リフトの強みを活かし、クレーンとの上手な棲み分けがなされているのです。

地上だけではなく地下や海中でも使用できる

建設用リフトはおもにビルの建設工事に使用されますが、応用範囲が非常に広く、地下や海中の工事にも使用されています。

地下の工事では、ビルの地下階層や、地下鉄の駅・トンネルの工事、鉱山の採掘、産業廃棄物の処理など、さまざまな場所で建設用リフトが活躍しています。

海中の工事では、おもに海上に建設する施設の基礎工事に使用されており、近年多く建設されている空港などには欠かせません。

海上ではクレーンも使用されますが、地下深くまで物資を運べる機械は建設用リフトのみなので、その貢献は非常に大きなものがあります。

工事が終われば取り外しができる

建設用リフトは仮設の機械であり、工事が行われる期間のみ組み立てて使用し、工事が終了すれば除去することができます

ガイドレールさえ設置することができれば、基本的にどこでも使用することができ、工事終了後の取り外しも比較的容易に行えます。

使用期間は、数か月間から数年間まで幅広く対応できますが、一度設置すると基本的に場所を変更することはできないため、設置場所には十分な事前調査が必要です。

天候にあまり影響を受けない

建設用リフトはクレーンと違い、雨天時の運転士の視界の悪さや、強風による荷の揺れなどがありません。

作業をする際に天候に左右されにくいメリットがあり、その点はクレーンにはない強みであるといえます。

多くの建設用リフトは荷の積載部分がむき出しになっていますが、ガイドレールに沿って上下に移動するだけなので、悪天候時でも運転が可能です。

ただし、台風などの暴風により強い圧力を受けた後に建設用リフトを使用する際には、労働安全衛生法に基づいた「クレーン等安全規則」によって点検が必要と記されています。

比較的簡単に運転できる

建設用リフトは人を載せずに荷のみを運搬する機械ですが、構造はエレベーターに似ているので、エレベーターと同じように押しボタンスイッチがついています。

建設用リフトに複雑な動きはないため、操作自体は容易で、比較的簡単に運転することができます。

ただし、荷の安定性など安全には十分に注意する必要があります。

また、操作が簡単ではあっても「建設用リフトの運転の業務に係る特別教育」という講習の修了者しか操作できないと定められています。

建設用リフトのデメリット

建設用リフトにはたくさんのメリットがある一方で、デメリットもあります。

近年、より高層のビルの建設が増えてきたため、従来の建設用リフトではやや能力が不足してきている点もあり、今後の課題ともなっています。

以下で、建設用リフトのデメリットをそれぞれ詳細にご紹介します。

人の運搬はできない

建設用リフトは人を乗せて運転することは、労働安全衛生法に基づいた「クレーン等安全規則」で禁止されています。

例外として、建設用リフトを修理・調整・点検するときで、かつ安全が確保できる場合にのみ作業員の乗り込みが許可されています。

人を乗せて資材の運搬を行ったことによる事故も報告されており、安易に人を乗せて運転することは重大な事故につながるので、絶対に行ってはいけません。

積載重量は最大で約1トン程度まで

建設用リフトは基本的にエレベーターと同じような機械的構造のため、積載荷重もエレベーターと大きな違いはなく、最大でも概ね1トン程度までの積載が可能です。

クレーンに比べると運搬できる荷の重さは大きく差をつけられており、1トンを超える荷を運ぶときにはクレーンの力を借りなければなりません。

大量の物資を運搬する場合は何度も往復しなければならず、その際には建設用リフトの運転や荷の積み下ろしなど、多くの人員が必要になります。

高速運転はできない

建設用リフトは一定の速度でしか運転できないため、超高層ビルの建設現場であっても高速で上階まで運搬することはできません。

近年は、建設用リフトよりも高速の運転が可能で、かつ作業員の乗り込みもできる「工事用エレベーター」が採用される例も多くなっています。

工事用エレベーターはインバーター制御を持つものが一般的で、滑らかな加速・減速が可能という強みがあります。

また、海外ではディーゼルエンジンを搭載した工事用エレベーターを使用して超高層ビルの建設を行った例もあり、時代とともに建設用リフトの立場も変わってきています。

運転には資格が必要

建設用リフトは簡単な操作で運転することができますが、だからといって誰でも運転してもよいものではありません。

建設用リフトを運転するためには、労働安全衛生法で定められた「建設用リフトの運転の業務に係る特別教育」を受講し、修了証を受ける必要があります。

修了証を受けた者は「建設用リフト運転士」として業務にあたることができます。

講習を修了すると、積載荷重0.25トン以上でガイドレールの高さが10m以上の建設用リフトを運転することが可能になります。

積載荷重0.25トン未満でガイドレールが10m未満の建設用リフトの運転には講習の修了は必須とされていませんが、安全衛生上は修了しておいたほうが望ましいです。

使用するには指定機関の許可や届け出が必要

建設用リフトは、製造から設置・運用まで徹底的に管理されており、勝手に使用することはできない設備で、使用には大きな責任が伴います。

まず、建設用リフトを製造するためには労働基準局長へ報告し、許可を得なければなりません。

その際には、建設用リフトの概要など、指定された項目を報告することが求められます。

また、報告した設備の内容に変更があった場合は、遅滞なく労働基準局長に報告する義務があり、変更したまま報告せずに作業を開始することは許されません。

さらに、製造された建設用リフトを実際に使用するために、建設現場に設置するときには、労働基準監督署長に届け出をしなければなりません。

このように建設用リフトは厳重に管理されているうえに、報告する機関も1つではないため注意が必要です。

まとめ

建設用リフトには多くのメリットがあり、建設現場で多大な貢献をしてきた一方で、いくつかのデメリットもあり、今後の課題となっています。

特に超高層ビルの建設においては、速度の不足などにより工事用エレベーターに立場を奪われつつあります。

とはいえ、まだまだ建設用リフトの活躍する場面は多く、今後も都市開発・国土開発に大きく貢献していくことが期待されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA