リバースサーキュレーションドリルとは基礎杭特殊ビットを回転させながら掘削残土を泥水ごと逆循環(リバース)させることで、断続的に掘削が可能になった拡底掘削機です。
ここではリバースサーキュレーションドリルのメリットやデメリットについて解説します。
リバースサーキュレーションのメリットとデメリット
岩盤層の断続的な掘削と大口径・大深度の掘削を目的に開発されたリバースサーキュレーションドリル。
近年では、機体の小型化などの開発が進み都市部などの狭所や駅のホームなどでも施工している現場を目にする機会が増えました。
掘削管理システムも進化しているので今後の更なる活躍が期待されます。
リバースサーキュレーションドリルのメリット
リバースサーキュレーションドリルのメリットといえば、岩盤層の断続的な掘削と大口径・大深度の掘削が可能なことが第一に挙げられます。
近年ではコンパクトで、履帯が装着可能な機体も開発され作業効率がアップしたこともメリットとなります。
その他にもリバースサーキュレーションドリルのメリットとなるものを以下に紹介しますのでご参考ください。
安定水のリバース機能によって孔壁を防護しながらの掘削が可能
掘削時に安定水の水圧が孔壁にしっかりとかかることで崩落を防止していますが、掘り進めると安定水が掘削深度よりも低くなってしまいます。
その際に吸い上げた地下水をリバースすることで崩落を防止しながら大深度の掘削を可能にしています。
また、殆どの機体が掘削径より、小径の孔壁防護材を沈設しながら掘り進めることが可能ですので、さらに強固な孔壁を保ちながら大口径の施工が可能となり、不随効果として周辺地盤への影響を最小限に抑えることが出来るようになりました。
特殊ビットで岩盤の掘削が可能
岩盤掘削時は特殊ビット(ローラビット)が使用されます。
回転可能の歯車のローラカッタをビット本体に複数個取り付けられたような形状になっています。
それぞれのローラカッタは自転しながら、表面の刃先のくさび作用により岩盤を砕いてかき取るというのが掘削原理になっています。
超低空頭での施工が可能
近年のリバースサーキュレーションドリルはコンパクトな機体も開発されています。
主に都市部や駅ホームなどの狭隘な場所での施工時に導入されています。
今までは、大型の機体を使用していましたので、仮設工事が大掛かりになっていました。
他にも仮囲いなどの占用範囲も広範囲になり、周辺地域に悪影響でしたが、超低空頭での施工が可能になったことで、それらの課題を解決することが出来ました。
リバースサーキュレーションドリルのデメリット
掘削作業の課題を克服しつつあるリバースサーキュレーションドリル。
メリットだらけのような印象ですがデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
地下水や掘削泥水が混入し、強度の低い保護壁材となる
深い位置では水圧が高くなるので、継手部分から水が浸入しコンクリートが分離してしまいます。
大口径で大深度が可能なドリルの開発に合わせて、地下水の水圧にも耐える構造が求められます。
また、鉄筋部分に泥水が付着し、泥水濃度が高くなりやすく、その結果、鉄筋とコンクリートの付着強度が低下しコンクリート自体の強度低下につながってしまいます。
施工する条件によっては予定外の工期の長期化、工費増大のリスクが伴う
施工現場の地形、地層、地下水の水位などに想定外の悪条件が重なり、孔壁の強度が保てないなどのリスクがある場合、補助工法を併用することがあります。
その影響で予定外の増員や夜間作業など、リソースの見直しが発生し工費の増大または計画の見直しによる工期の長期化の一因となってしまいます。
国土交通省土木工事積算基準に不適合となる場合がある
通常であればリバースサーキュレーション工法で対応するべき現場でも、基準通りに施工した場合、地形、各層の状態、杭の長さを考慮すると孔壁の強度を保つのが困難な場合があります。
その結果、施工自体が困難となり、他の工法を検討する場合があります。
まとめ
いかがでしょうか?
今回はリバースサーキュレーションドリルのメリットやデメリットをまとめてみました。
掘削水をリバースすることで強固な孔壁を保ちながら施工ができ、特殊ビットで岩盤をも砕くパワーがある一方で、地下水層の見極めが困難だったり、イレギュラーな要素で肝心な大深度の施工自体が出来ない可能性があることがわかりました。
冒頭でも記述した通り、近年ではコンパクト化が進み駅のホームで施工している現場を見る機会も増えてきました。
都市の発展には掘削による基礎作りが重要ですので、今後もリバースサーキュレーションドリルが活躍し続けるでしょう。