スキッドステアローダはホイールローダと似ていますが、使用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、デメリットはあるのでしょうか。
ここでは、スキッドステアローダのメリットやデメリットについて解説します。
スキッドステアローダにはこんなにメリットが!一方デメリットもあり
スキッドステアローダを使用するメリットといえば、何といってもその旋回性能の高さです。
コンパクトなボディできびきびと動き回り、その場で素早く向きを変える姿は、まるで戦車のようです。
一方でスキッドステアローダにはデメリットもあり、構造上、車体を大型にできないことなどがあります。
スキッドステアローダのメリットやデメリットを順に見てみましょう。
スキッドステアローダのメリットを解説
スキッドステアローダを使用することは、多くのメリットがあります。
日本でのスキッドステアローダは特に農場や牧場で多く使用されていますが、メリットを大いに発揮しています。
以下で、スキッドステアローダのメリットについてそれぞれ詳細をご紹介します。
小回りが利く
スキッドステアローダの最も大きな特徴が、優れた旋回性能です。
車輪の方向を変えることによる旋回ではなく、左右の車輪の回転速度の差や回転方向の違いによって旋回するため、ほぼ車体の全長のみのスペースがあれば方向転換できます。
構造上、ホイールベースを大きくすることができませんが、逆に車体をコンパクトに収めておけるため、小回りが利く要因になっています。
この小回りが利く性能を活かして、限られたスペースをきびきびと動き回り作業することができるため、スキッドステアローダは産廃処理場や各種工場などで活躍しています。
悪路に強い
スキッドステアローダは舗装されていない路面での作業を想定して造られているため、悪路には強い設計になっています。
さらにクローラを装着することが可能なモデルもあるので、より一層悪路に強くなり、過酷な環境でも能力を発揮します。
四輪を駆動して走行し、片方の車輪だけでも独立して駆動できるため、悪路でも力強い走行性能を見せてくれます。
小柄な車体でも長いアームを持つ
スキッドステアローダは小柄な車体に似合わず長いアームを装備しており、アームを最大まで伸ばすと大型トラックの荷台への積み込みも可能です。
この長いアームは資材を一ヶ所にまとめて積み上げるときにも威力を発揮し、農場や除雪作業で大いに活躍します。
長いアームは走行時には車体の側面にコンパクトに折りたたまれており、使用時にのみ大きく伸ばすことができます。
車体価格が比較的安価
スキッドステアローダのメリットの1つとして、車体価格が比較的安価なことが挙げられます。
ホイールローダと比較すると小型で、構造も複雑ではないため、同じようなスペックであってもホイールローダより安価に入手することができます。
構造が簡単でメンテナンスが楽
スキッドステアローダは先述のように構造が複雑ではないため、ユーザーがメンテナンスを必要とされる部分は比較的少なくなっています。
油圧部分は走行や重量物の持ち上げにかかわるため、特に管理が重要ですが、基本的なメンテナンスを欠かさなければコンディションを維持できます。
さまざまなアタッチメントを装着可能
スキッドステアローダには多くのアタッチメントが用意されており、通常のバケット以外にも用途に合わせてさまざまなアタッチメントを利用することができます。
特に農業や畜産業で使用する特殊なアタッチメントが豊富で、正規代理店以外にもアタッチメントを専門に扱っている企業もあり、オーダーメイドすることもできます。
スキッドステアローダのデメリットを解説
多くのメリットを持つスキッドステアローダですが、いくつかのデメリットもあります。
ホイールローダとよく似た作業が可能ながらも、競合するとやや弱い一面があるのは、スキッドステアローダの持つデメリットによるものと考えられます。
以下で、スキッドステアローダのデメリットについてそれぞれ詳細をご紹介します。
構造上、大型化ができない
スキッドステアローダはメカニズムの都合上、ホイールベースや車幅を大きくすることができないため、車体を大型化することができません。
全長の短い車体は旋回には有利ですが、重量物を運搬するときの走行安定性に欠けるため、乱暴な運転をすると転倒の危険性もあります。
ある程度の大型化は速度の向上にもつながりますが、それも難しいため、スキッドステアローダは低速走行に徹した作業を行うことになります。
走行速度が遅い
スキッドステアローダには原則として変速機能がないため、一定速度以上のスピードで走行することができません。
近年のモデルでは2段階の速度変換が可能な車種もありますが、それでもホイールローダほどの速度では走行できません。
スキッドステアローダはタイヤを装備して走行しますが、高速走行することを想定されておらず、メカニズム的にも速度を上げることは難しい構造です。
視界が悪い
スキッドステアローダはその構造上、運転席から見て左右や後方の視界があまりよくありません。
車体に比べてアームが非常に長く、通常走行時は車体の側面に折りたたんだアームが格納されており、運転席の側面をほぼ覆っているので、周囲の様子を確認することが困難です。
後方の確認はミラーで行うことはできますが、車体の後部にエンジンルームと大きなカウンターウェイトを内蔵しているため、肉眼で直接後方を確認することは困難です。
そのためスキッドステアローダではバック走行を控え、旋回により方向転換することが推奨されています。
旧式モデルは細かい作業が苦手
古いタイプのスキッドステアローダには足元に荷役作業を行うペダルが2つ備わっており、ペダルを踏み込むことによってバケットなどのアタッチメントを操作します。
この操作が慣れるまではなかなか難しく、操作に慣れたとしても精度の高い作業をすることが困難です。
そのため後発のモデルでは手元のレバーでバケットの操作ができる、ホイールローダなどと同じようなタイプも開発されています。
手元のレバーで操作するタイプは油圧を制御する電気系統を備えているため、精度の高い作業をすることができる一方で、旧来のモデルよりも故障のリスクは上がっています。
旧来の足元でバケットを操作するタイプは精度の高い作業が難しいかわりに、構造が単純なため故障のリスクは低くなっています。
能力を活かせる場所が限られている
スキッドステアローダは日本では農業・畜産業での使用が多く、次いで林業・産業廃棄物処理場・各種工場での使用が多くなっています。
スキッドステアローダが建設作業にあまり使用されないのは、似た作業を行えるホイールローダのほうが大型で、移動速度が速く、より重量物を扱えることが要因です。
工場でも大規模で多くの資材の運搬が必要な現場ではホイールローダを使用することが多く、スキッドステアローダはやや押されている立場です。
スキッドステアローダが活躍できる場所は、農場や牧場など悪路の多い場所や、限られたスペースで作業することが求められる工場などに限定されています。
除雪においてはミニホイールローダとスキッドステアローダいずれも使用されており、より安価なスキッドステアローダは個人でも所有されている車体が多くなっています。
取り扱う代理店が少ない
スキッドステアローダは建設業ではほとんど使用されていないため、流通量が多いとはいえず、そのため取り扱う代理店も限られています。
スキッドステアローダの本家といえるボブキャット・カンパニーは代理店が少なく、建設機械大手のキャタピラーもスキッドステアローダの取り扱いが多いとはいえません。
国産メーカーではヤンマーやトヨタL&Fなどがスキッドステアローダを扱っていますが、やはり販売量は多くはありません。
代理店が少ないことは故障時の迅速な対応が難しいこともネックで、コンディションを維持するために日々のメンテナンスが重要になってきます。
まとめ
スキッドステアローダには多くのメリットがあり、大規模な農場や牧場では欠かせない戦力となっています。
一方でスキッドステアローダにはデメリットもあり、ホイールローダに比べてやや劣っている部分があることも否定できません。
スキッドステアローダを使用する場合は、その能力を十分に発揮できるような環境かを事前に判断しておくと、おおいに活躍してくれることでしょう。