バイブロハンマは、基礎工事で用いられることの多い建設機械。多くの現場で活躍しています。
この記事では、バイブロハンマの特徴・使い方・注意点をそれぞれまとめます。
1 バイブロハンマの特徴
バイブロハンマは、鋼矢板やH型鋼などに振動を加えて地中に打ち込んだり、引き抜いたりするための機械です。
「チャック」と呼ばれる、クチバシのような先端に鋼矢板やH型鋼を挟み込み、電気や油圧の力で強制的に振動を加えます。
バイブロハンマに備えられている「偏心体」と呼ばれる振り子が高速回転し、チャックで挟み込んだ杭が振動します。その振動が伝わった土壌は流動化し、摩擦力や抵抗力が一時的に激減します。
その力で、杭は土壌の影響をあまり受けずに動かせるようになります。
バイブロハンマを使えば、上から杭を打ち込む従来の方式よりも杭が曲がりにくいというメリットがあります。また、打撃音も抑えることができます。
2 バイブロハンマの使い方
バイブロハンマは、多くの場合クレーン先端に取り付けて使用されます。ショベルカーの先端に取り付けられるものもあります。
まずは打ち込みたい杭をクレーン等で持ち上げ、バイブロハンマのチャックにしっかりと固定します。
打ち込みたい位置に杭を運んで杭先が地面に触れたら、バイブロハンマを起動します。そうすれば土壌に振動が加わり、杭が地中にだんだん埋まっていきます。
打ち込みたい深さまで杭が到達したら、バイブロハンマの振動を停止し、チャックを杭から離します。
杭を引き抜く際には、地面に埋まった杭の先端にバイブロハンマのチャックを取り付けて起動します。振動によって杭が動くようになるので、段々とクレーンを引き上げれば杭が抜けます。
3 バイブロハンマ使用時の注意点
3-1 振動対策が必要
環境省の資料によると、バイブロハンマの作業場所から7m離れた場所では70~90デシベルの振動が観測されるようです。これは地震に置き換えると「震度3」に相当する強さ。
バイブロハンマで作業する際には、周辺住民への周知や作業時間帯の調整といった振動対策が必要になります。
また、電動式バイブロハンマではなく、より振動の少ない油圧式バイブロハンマを用いることもできます。
3-2 作業員を巻き込む事故に十分注意する
バイブロハンマで杭を打ち込む際には、オペレーター以外の作業員もサポートする場合がほとんどです。
オペレーターは特に、運搬中の杭が揺れて作業員にぶつからないように注意を払う必要があります。杭が落下しないよう、チャックにしっかり固定できているか常に確認することも重要です。
オペレーター以外の作業員も注意すべき点があります。バイブロハンマを取り付けたクレーンやショベルの旋回範囲内には、むやみに入らないように注意が必要です。
4 まとめ
バイブロハンマは、地面に振動を加えることで杭の埋込み・引抜きをスムーズに行う機械です。杭の変質や打撃音の抑制を防げるというメリットがあります。
使用する際には、バイブロハンマをクレーンやショベルの先端に取り付けます。バイブロハンマのチャック(先端部分)にしっかりと杭を固定し、地面に接したところで起動すると杭が埋まっていきます。
バイブロハンマは地面が流動化するほどの振動を加えるため、事前に近隣への周知を行っておく必要があります。また、杭の移動の際には特に人や物にぶつかる事故が起こらないよう、関係する人すべてが気をつける必要もあります。