薬液注入施工機器って何?特徴と施工方法を解説

薬液注入施工機器

皆さん、薬液注入施工機器という建設機械を知っているでしょうか。

薬液施工注入施工機器は建設現場で使用される機械であり、トンネル掘削や構造物の基礎掘削など地盤を掘削する工事で用いる建設機械です。

今回はそんな薬液注入施工機器に関して解説していきます。

そもそも薬液注入施工機器とは?

薬液注入施工機器とは、軟弱地盤の地盤改良を行うための機械です。

日本の平野部は「沖積層」と呼ばれる比較的新しい年代の軟弱な地盤が広く分布しております。

そのため、建物を建てようとした際に、「硬い地盤まで杭を打ち込んで建物の基礎とする」もしくは「軟弱な地盤に薬液を注入して地盤を強固にする」といった方法が考えられます。

薬液注入施工機器とは名前からわかる通り、「軟弱な地盤に薬液を注入して地盤を強固にする」方法を行うときに用いられる機械です。

薬液注入施工の概要

薬液注入施工では対象地盤が砂、粘土など間隙(すきま)が比較的大きい地質に適しており、注入する薬液が浸透することが適用条件となります。

例えば、岩などは薬液を入れても間隙が少ないので浸透しないですよね(そもそも硬い岩には薬液注入は無意味ですが・・・)。

地盤に注入された薬液は砂の間隙に浸透して、土粒子同士を結合させることで地盤を強固にします。

イメージとしてはサラサラの砂に水を混ぜると固まりやすくなるようなイメージです。

強固になった地盤に家を建てるのであれば安心して住むことができますね。

薬液注入施工機器について

リバースサーキュレーションドリル

薬液注入施工にはどのような機械を使用するのでしょうか。鉛直方向の薬液注入施工であれば、主に以下の機械を使用します。

・ボーリングマシン

・薬液注入ポンプ

・流量計

〇ボーリングマシン

ボーリングマシンとは穴掘り機のことです。やぐらと呼ばれる土台にボーリングマシンを設置します。

ボーリングマシンは先端に取り付けた「ビット」と呼ばれるドリルをエンジン駆動により回転、打撃させながら掘っていきます。

この時、エンジンの回転力を伝えたり、先端の摩耗量を低減するための送水を行う役割を持つ、「ロッド」と呼ばれる中の空いた鋼管を用いて掘っていきます。

〇薬液注入ポンプ

薬液注入ポンプは名前の通り、薬液を注入するためのポンプです。

ポンプを使用することで、薬液をボーリングマシンのロッドを通して地盤に注入していきます。

〇流量計

実際に使用した薬液の量を正確に把握するための流量計です。注入する薬液の量は対象となる地盤によって変わってきます。

例えば、間隙の大きい砂ではいっぱい注入しないと硬い地盤になりませんが、ある程度締まっていて密な地盤であれば注入量を減らすこともできます。

そのため、どの程度注入しているか把握できるように流量計が必要となります。

薬液注入施工方法について

ボーリングマシン

薬液注入施工には様々な施工方法があります。今回は主に使用されている方法3種類について解説します。

〇二重管ストレーナ工法(単相式)

二重管ストレーナ工法は(単相式)はボーリングマシンによる掘削・注入を繰り返すことで地盤を改良していきます。単相式は主に瞬結型の薬液を使用する方式です。

施工順序は以下の通りです。

  1. ボーリングマシンを使用して所定の深度まで掘削を行います
  2. 削孔完了後、瞬結性薬液に切り替えて注入開始
  3. 所定改良区間の注入を行って地盤改良を完了させて、ボーリングマシンを次の改良箇所へ移動します

〇二重管ストレーナ工法(複相式)

二重管ストレーナ工法(複相式)ボーリングマシンによる掘削・注入を繰り返すことで地盤を改良していきます。単相式との違いは主に瞬結型と緩結型の薬液の2種類を使用することです。

施工順序は以下の通りです。

  1. ボーリングマシンを使用して所定の深度まで掘削を行います
  2. 削孔完了後、瞬結性薬液に切り替え注入管周囲に薬液注入を行います
  3. 同時に中結~緩結性薬液による浸透注入を行います
  4. 2~3を繰り返し、所定改良区間の注入を行います。完了後、ボーリングマシンを次の改良箇所へ移動します

〇二重管ダブルパッカー工法

二重管ダブルパッカー工法はケーシング(地質の崩壊を防ぐための孔壁)で掘削を行い、完了後ケーシング内に注入用外管を挿入してからケーシングを引き抜き、管周囲のシールを行います。

施工順序は以下の通りです。

  1. ボーリングマシンを使用して所定の深度まで掘削を行います
  2. シールグラウトを孔内へ充填します
  3. 外管の中へパッカー(薬液を噴射する装置)の付いた内管を挿入し、一次注入を行い地盤の均一化を図ります
  4. 一次注入完了後、溶液型注入材にて浸透改良を行います

まとめ

薬液注入施工機器の特徴と施工方法を解説いたしました。

薬液注入は建物の施工などの基礎になる大事な工法です。あまり聞きなじみがないかと思いますが、建設現場では欠かせない工法だということを知っていただけると嬉しいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA