ホイールローダというものをご存じでしょうか。
日常生活ではあまり目にすることはありませんが、私たちの生活を陰で支える重要な役目を担っています。
ここではホイールローダの特徴などを徹底解説します。
ホイールローダとは?
ホイールローダとは建設機械の一種で、大型のバケットを装着しており、資材などを運搬する作業に使用されています。
他の建設機械にはない特徴もあり、建設現場に限らずさまざまな場面で活躍しています。
ホイールローダにはどのような特徴があるのか見てみましょう。
ホイールローダの主な役目
ホイールローダを知るためには、まずはホイールローダがどのような用途で使用されているかを知ることが近道です。
ホイールローダは土砂の大量運搬を最も得意としており、鉱山や採石場などには必ず1台は存在しています。
その他、あらゆる重量物を運搬する作業を担っています。
以下で、ホイールローダのおもな役目の詳細を順にご紹介します。
トラックなどへの積み込み作業
ホイールローダを最もよく目撃する場所といえば、鉱山や採石場などの土石産業の工場でしょう。
そこでホイールローダは、ダンプトラックの荷台に土砂などの積み込みをする作業を担っています。
一度に大量の土砂を積み込みできるホイールローダは、ダンプトラックの運搬作業には欠かせません。
工事現場でも、土砂を運び出すときにはホイールローダからダンプトラックへ積み込みされます。
ホイールローダは大型でも非常に機動力が高いので、熟練の運転士ならば次々にやってくるダンプトラックへ素早く積み込み作業をすることができます。
ダムなどの大規模な土木工事でもホイールローダが1台あるだけで工事がはかどり、短期間で大量の土砂の運搬が可能になるでしょう。
また、産業廃棄物処理場でもホイールローダは活躍し、一度に大量の産業廃棄物を大型トラックに積み込み作業することができます。
大量の重量物を高く持ち上げることができるホイールローダは、トラックへの積み込み作業を最も得意としています。
重量物の運搬作業
ホイールローダは重量物の運搬も得意としています。
ホイールローダは大型の車体に似合わず小回りが利くので、限られたスペースでも軽快に移動することができるため、柔軟な運搬作業が可能です。
工事現場の中で土砂を移動させるときには、他の重機が苦手とする素早い運搬もホイールローダならば機動力の高さで楽々とこなします。
また、工場内ではあらゆる資材の運搬作業にホイールローダが使用されます。
特に土砂やセメント、粉状の薬品、場合によっては液体など、クレーンやフォークリフトで持ち上げることが難しい形状のものはホイールローダでの運搬に向いています。
ホイールローダは除雪にも活躍し、特に商業施設の駐車場内で雪の運搬をするときには欠かせないものとなっています。
ホイールローダが活躍している場所
ホイールローダは鉱山や採石場、工事現場で一般的に使用されています。
ホイールローダは屋外で使用されることが多いですが、屋内でも工場のあらゆる資材の運搬に使用され、限られたスペースでその機動力を発揮しています。
近年ではバイオマス発電所でもホイールローダが使用され、発電用のボイラーの燃料となる木材チップなどを運搬するときにも活躍しています。
また、牧場でもホイールローダが使用され、干し草などを大量に運搬したいときにもホイールローダが活躍します。
他にも、冬季に積雪の多い地域では、いたるところにホイールローダが置かれています。
大型のホイールローダは道路や広場の除雪に、中型から小型のホイールローダは商業施設の駐車場や敷地の除雪で活躍しています。
ホイールローダの特徴
ホイールローダは建設車両の一種で、一般的にディーゼルエンジンで駆動し、ゴムタイヤによって走行します。
車体の前部に装着されたバケットに運搬物を収め、高く持ち上げることを得意としており、用途によってバケットを交換することも可能です。
以下で、ホイールローダの特徴の詳細を順にご紹介します。
ホイールローダの機械的特徴
ホイールローダはおもにディーゼルエンジンで駆動し、低回転域で力強いトルクを発揮するため、重量物の運搬時にその力を発揮します。
車体の前部に運搬物を収めるバケットと、それを持ち上げるリフトアームがあり、油圧シリンダで動作します。
運搬物を収納した状態でバケットを高く持ち上げることができるので、トラックへの積み込みや資材を高く積み上げる作業を得意としています。
ホイールローダは大型のゴムタイヤを装着しており、大型特殊車両としては高い機動力を持っています。
ホイールローダの機械的な特徴として、小回りが利くことが挙げられます。
車体の前部に装備されているリフトアームとバケットが前輪と連動して旋回するために、旋回半径はその大柄な車体に似合わず比較的小さなものとなっています。
ホイールローダの基本構造
ホイールローダの基本構造は比較的シンプルなものです。
車体の後部にエンジンがあり、四輪を駆動して走行し、最後部には運搬物とのバランスを取るカウンターウェイトが装着されています。
前部には運搬物を収めるバケットと、それを持ち上げるリフトアームがあり、油圧シリンダによって動作します。
車体の中心に近い位置で左右に折れる「中折れ式」により旋回が可能で、大型車両にしては小回りが利きます。
ホイールローダが装備しているタイヤは一般車両のものとは異なり、舗装されていない地面でもパンクしにくく強化された特殊なタイヤが使用されています。
ホイールローダの種類
ホイールローダは車体のサイズと重量によって運搬可能な能力が分かれており、約1トンから約30トンまでのものが一般的に使用されています。
一般的に目撃することはありませんが、鉱山などでは最大で約50トンクラスの大型ホイールローダも存在します。
ホイールローダとよく似ているものとしてショベルローダがありますが、こちらはホイールローダと異なり、前輪駆動で後輪を旋回するフォークリフトと同じ構造です。
ホイールローダは使用するバケットのサイズによっても種類が分けられます。
バケットは交換することが可能で、標準的なバケットや爪付きのバケットが広く使用され、除雪用にはバケットの軽量化のためにスケルトンタイプのものもあります。
バケットの代わりにフォークを取り付けることも可能で、フォークリフトのような使い方も可能です。
ホイールローダを使用するためには
ホイールローダを使用するためには運転するための専門知識が必要で、指定された講習を受講することが義務付けられています。
ホイールローダは個人で所有することは難しいため、企業や団体が所有するかレンタルするという方法が一般的です。
以下で、ホイールローダを使用するために必要なことを順にご紹介します。
ホイールローダを運転するために必要なこと
ホイールローダを運転するためには「車両系建設機械(整地・積込・運搬用及び掘削用)運転技能講習」を受講する必要があります。
ホイールローダとよく似ているショベルローダは運転資格が異なり、こちらは「ショベルローダ運転技能講習」が必要なので、間違えないように注意しましょう。
ただし講習を受けたからといって自在に操れるものではなく、相応の経験も必要で、危険な作業も伴うため安全に対する高い意識も必要です。
また、ホイールローダで公道を走行するためには大型特殊免許が必要で、車体のサイズによっては小型特殊免許でも運転可能な場合ももあります。
ホイールローダを手に入れる方法と価格
ホイールローダは大変高価な建設機械ですから、個人で購入することは困難です。
大型のホイールローダの新車価格は数千万円で、除雪などに使用する中小型ホイールローダでも新車は500万円以上と高価です。
ホイールローダは中古品も多く流通しており、大手の建設機械メーカーや建設車両販売会社などに展示もされています。
価格はおもに車体のサイズによりますが、大型のホイールローダならば中古でも500~1,000万円と高価です。
個人商店などでよく使用される小型のホイールローダは、300万円前後の中古車が比較的多く流通しています。
ホイールローダは大切に扱えば長く使用できるので、程度の良い中古車両ならば十分に活躍してくれるはずです。
またホイールローダを使用するにはレンタルも有効で、建設機械レンタル業者で豊富に取り扱っています。
レンタルの価格は車体のサイズによりますが、1日1万円程度からレンタルすることが可能で、1ヶ月使用できるマンスリープランもあります。
ホイールローダの維持運用
ホイールローダを長く使用するためには、日々のメンテナンスも重要です。
プロに任せなくても自分でできるメンテナンスとしては、エンジンオイル交換・オイルエレメント交換・エアーエレメント清掃・グリスアップなどがあります。
また、冷却系統もこまめにチェックし、ラジエータ液量は常に注意しておく必要があります。
タイヤの状態も日常的にチェックし、少しでも異常を感じたら専門業者に相談しましょう。
まとめ
ホイールローダは建設機械の中でも応用範囲が広く、その高い機動力を発揮してさまざまな場面で活躍しています。
その作業する姿は力強く魅力的で、子供のおもちゃやラジコンなどの模型にもなるほど愛らしい一面もあります。
これからもホイールローダは人々の生活を支える縁の下の力持ちとして活躍していくことでしょう。