建設業では現場の状況、施工方法によってさまざまな機械を使用します。
今回は、建設現場や農業などで使われるアースオーガと呼ばれる建設機械について、どのような目的で使用されるのかメリット・デメリットと合わせて解説していきたいと思います。
アースオーガについて
アースオーガとは簡単にいうと「穴掘り機」のことです。
ドリル(スクリュー)状になっている先端を回転させることで土に穴を掘る機械です。
アースオーガには人の手で使用できるような小さい機械から、工事現場で使われるクレーンに取り付け可能な大きい機械まで様々なものがあります。
掘った穴は井戸として使用したり、構造物の基礎杭となる鋼材や土を抑える土留めという鋼板などを建て込むことによって、構造物を施工したりします。
小型アースオーガのメリットについて
アースオーガにはさまざまな種類があると説明しましたが、まずは人が使用できるサイズの小型アースオーガについて説明します。
小型のアースオーガは家庭菜園や農業、井戸用の穴を掘るために使います。種類は「手動式」、「電動式」、「エンジン式」とさまざまな種類があるため、自分の用途に合わせたものを選ぶ必要があります。
小型アースオーガのメリット
はじめに小型アースオーガのメリットについて説明いたします。
比較的簡単に手に入る
小型のアースオーガは比較的簡単に手に入れることができます。
ネットやホームセンターなどを見てみると人の手で使用可能なアースオーガがたくさん売っています。
ただし、種類が多く、掘りたい穴の大きさや深さによって手動式にするのか、電動式にするのか、エンジン式にするのか決める必要がありますので自分の目的に合ったアースオーガを選ぶようにしましょう。
素人でも簡単に使用できる
小型のアースオーガは建設機械など特殊な機械が必要ありません。
人の力で使用することを目的に作られているため使用方法も容易で素人でも説明書を読めば簡単に使用することができます。
特に小型アースオーガは浅井戸、農業用の穴などに使用されます。
機械代が安価
小型アースオーガは井戸、家庭菜園といった規模の大きくない穴を掘るための機械なので、数千円~数万円単位で購入することができます。
仮に効率よく建設機械を使って穴を掘りたいとなった場合、クレーン代に取付用のアースオーガで数百万円程度はかかるでしょう。
家庭で使用する程度であれば費用を抑えるために小型アースオーガのほうが良いと思います。
小型アースオーガのデメリット
規模の大きい穴掘りはできない
当たり前ですが小型である分、
「穴を何本も掘りたい」、
「深い穴を掘りたい」
といった用途には合いません。
井戸などは数十m掘らなければ水が出ないこともあるので小型アースオーガではどんなに掘っても水が出ないといった可能性があります。
使用方法を間違えるとケガをすることがある
アースオーガは小型とはいえ穴を掘れる機械ですから間違えて人に向けてしまったり、穴を掘る以外の用途に使用する場合、自分もしくは相手がけがをすることがあります。
当たり前ですが、使用方法をしっかりと確認し穴を掘る以外の目的で使用しないようにしましょう。
騒音・振動
エンジン式の場合、エンジンの稼働音や排気ガスなどが発生します。そのため、周りの環境には留意して使用するようにしましょう。
例えば、
住宅が近い場所では騒音が迷惑をかけるため使用を避ける
農園が近い場所で排気ガスが影響するため使用を避ける
といったイメージです。
電動式や手動式では上記の影響はほとんどありませんが、掘る地面が硬い場合にはカンカンといった音が響くこともあるので注意しましょう。
大型アースオーガについて
次に建設現場で使われる大型のアースオーガについて説明します。
先ほど説明した通り、大型のアースオーガはクレーンに装着して使用する機械が一般的です。
小型アースオーガでは掘削できないような大きい深い穴を掘って構造物を構築する杭基礎などを建て込むために使用します。
大型アースオーガのメリットについて
続いて、大型アースオーガのメリットについて説明いたします。
大深度・大断面の掘削が可能
大型のアースオーガも使用するクレーン、装着するアースオーガによってさまざまな大きさ、深度の穴を掘削することが可能です。
深度は50m程度、断面も直径1m以上は掘ることができます。そのため、住宅などの建築構造物~大型の土木構造物まで幅広く使用されている工法になります。
精度のよい掘削ができる
建設機械を使用しての掘削は機械に取り付けている測量機器などにより精度よく掘削することができます。
穴のずれは数㎜~数㎝とかなりの精度で掘削が可能です。安全な構造物を造るためにはこのような正確性が求められるのです。
小型のアースオーガでは人の手で掘削するので、ここまでの精度をもった掘削はできません。
施工効率がよい
大型アースオーガの掘削はクレーンと取付用のアースオーガがあれば、効率よく掘削することが可能です。
掘削する地盤、深度にもよりますが、一日に数本の掘削も可能です。そのため、建設工事での掘削ではアースオーガがメインで選定されています。
大型アースオーガのデメリットについて
騒音・振動
大型になればなるほど付きまとうのが振動と騒音です。
地盤が硬く、使用機械が大きいほど振動と騒音は大きくなるので、周辺住民への説明や理解を得ることが大事になります。
フードを使用した防音対策や周波数により振動を打ち消す技術もありますが、まだまだ発展途上で費用もかかるため周辺環境に配慮することが必要です。
泥土の処理・対策
アースオーガの掘削には水を使用することから泥土が発生します。
この泥土は掘削中の地中にたまると掘削の邪魔となるため、除去する必要があります。
さらに、除去した泥土は産業廃棄物扱いとなるので処理費もかかってしまいますし、環境にも悪影響を与えることになります。
掘削が難しい地盤がある
アースオーガによる掘削では硬い地盤にあたると掘削ができない場合があります。玉石や礫といった径の大きいような地盤ではドリルの力では割ることができずに止まってしまうこともあります。
そのため、掘削にあたってはどのような地質なのか、その地質がどれくらいの深度で出現するのかなど計画を立てて掘削する必要があります。
掘削できない地盤ではアースオーガでの掘削ではなく、ダウンザホールハンマーのような玉石をも砕けるような工法を選定することになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。人が使用できる小型のものからクレーンを使用する大型なアースオーガまで、メリット・デメリットを説明いたしました。
小型、大型は使用用途によって使い分けが必要となります。また、アースオーガも万能ではなく、どのような穴を掘りたいかにより使用する機械も変わってきますので、ご注意ください。
普段、あまり見ることのないアースオーガについて少しでも理解を深めていただけると幸いです。