油圧ハンマは、日本の杭打ち工事によく用いられる建設機械。今でも多くの現場で採用されています。
この記事では、油圧ハンマのメリット・デメリットを解説していきます。
油圧ハンマを導入しようかと考えておられる方のお役に経てば幸いです。
1 油圧ハンマのメリット
1-1 経済性が高い
他の杭打ち工法に比べ、油圧ハンマを用いた「打撃工法」は最もシンプルな工法です。それゆえに、作業コストを抑えることができます。
作業がシンプルなので工期も短縮され、人件費の節約にも繋がります。
1-2 信頼性が高い
油圧ハンマで杭打ちをするなら、杭の支持力を確認できます。
油圧ハンマで杭を打ち込む際の「1打撃あたりの貫入量」「杭のリバウンド量」をもとに支持力を計算します。
もちろん地盤の調査は事前に行っている場合が多いのですが、こうした確認によって信頼度のより高い杭打ちが可能となります。
2 油圧ハンマのデメリット
2-1 杭を打ち込む際の騒音・振動が大きい
油圧ハンマが普及し始めたのは、1980年頃と言われています。
それまではディーゼルエンジンを搭載した「ディーゼルハンマ」で杭打ちを行うのが主流でした。
しかし「騒音規制法」や「振動規制法」といった法律が制定され、住宅街などでディーゼルハンマを使用することが困難になりました。
こうした騒音や振動を抑えるため、油圧ハンマが使用されるようになりました。
油圧ハンマを使った作業で、確かに騒音や振動はある程度軽減されました。
しかし、硬い杭に向かって数トンの重りを打ち付けるというスタイルは変わりません。そのため、どう抑えても騒音や振動は発生してしまうのが現実です。
それで、油圧ハンマを使用する際には十分な騒音・振動対策が必要となります。近隣住民への周知や、可能なら油圧ハンマに取り付けられる防音装置等を使用することもできます。
騒音や振動が深刻な問題を引き起こしそうなら、他の工法に切り替えることもできるかもしれません。
例えば杭の位置を掘削してから杭を埋め込む「中堀り杭工法」は、騒音や振動を抑えるのに優れた工法です。
2-2 全体的な重量が重くなる
油圧ハンマには、杭を打ち込むための「ラム」が搭載されています。硬い杭を地盤に打ち込むため、ラムの重さは数トンにも及びます。
油圧ハンマ自体も重い上に、それを支える他の重機・部品などを合わせると全体的な重量が重くなります。
運搬や現場の状況を考えたとき、これがデメリットとして効いてくる可能性があります。
しかし、最近ではクレーンで杭の上に油圧ハンマを設置可能な「フライングハンマー油圧工法」といった工法が開発されています。
三点式杭打機などの大型重機が必要ではなくなるため、重量を抑えることを考えた場合に大きなメリットを得られます。
油圧ハンマを用いる際には、こうした新しい工法を考慮することもできます。
3 まとめ
油圧ハンマを用いた杭打ちはシンプルな工法のため、経済的なメリットが大きいと言えます。
また杭打ちの際に杭の支持力を確認しやすく、確実な杭打ちが可能です。
その一方で、油圧ハンマを用いた杭打ちには騒音・振動がつきものです。周辺への周知や防音装置など、適切な対策を行うことが必要です。
また、油圧ハンマの導入により全体的な重量が重くなるというデメリットもあります。その場合には「フライングハンマー油圧工法」など、他の方法を用いることもできます。