皆さん、薬液注入施工という工法を聞いたことあるでしょうか。
薬液施工注入施工は薬液注入施工機械を用いて、トンネル掘削や構造物の基礎掘削など地盤を掘削する工事にて地盤改良を行うために使用される工法です。
今回はそんな薬液注入施工についてどのようなメリット・デメリットがあるのか解説していきたいと思います。
そもそも薬液注入施工とは?
薬液注入施工とは、軟弱地盤の地盤改良を行うための工法です。地盤改良とは地盤にグラウト材などの材料を混ぜ合わせることで軟弱な地盤を硬質な地盤に改良することをいいます。
日本の平野部は「沖積層」と呼ばれる比較的新しい年代の軟弱な地盤が堆積してできた場所が広く分布しております。河川に流されながら粉々にされた砂が上流から流れてきて堆積した場所が平野になるので、どうしても軟弱な地盤となってしまうのです。
そのため、建物を建てようとした際には、「硬い地盤まで杭を打ち込んで建物の基礎とする」もしくは「軟弱な地盤に薬液を注入して地盤を強固にする」といった施工が検討されます。
「硬い地盤まで杭を打ち込んで建物の基礎とする」場合、硬い地盤が杭を打設できる深さに出現する必要があります。出現しない場合は杭を打設して安全を担保することが不可能となるため、「軟弱な地盤に薬液を注入して地盤を強固にする」薬液注入施工が用いられることとなります。
薬液注入施工の概要
薬液注入施工では対象地盤が砂、礫など間隙(すきま)が比較的大きい地質に適しており、注入する薬液が浸透することで間隙をなくし、さらには粒子同士がくっつくため地盤の強度が上がります。
イメージとしてはサラサラの砂に水を混ぜると固まりやすくなるようなイメージです。薬液注入施工では接着剤のような材料を使うことでさらに固まりやすくなります。
薬液注入施工のメリットについて
薬液注入施工のメリットについて説明します。
小規模な施工スペースで施工が可能
薬液注入施工は施工機械がボーリングマシンや注入機器など簡易的で準備も容易なものがほとんどです。
そのため、施工スペースの狭いところや上空に架線などがある低空頭の場所でも施工が可能となっています。
振動・騒音による影響が少ない
薬液注入施工は対象地盤に薬液を注入するだけなので騒音・振動といったデメリットが発生しづらいです。
杭打設ではどうしても音が発生してしまうので近隣に住宅がある場所などでは薬液注入施工のほうが有利となります。
地盤条件による影響を受けにくい
薬液注入施工は対象となる地盤ごとに工法・材料といった施工条件を変更することでさまざまな地盤への薬液注入施工が可能となります。
経済性・施工性に優れている
薬液注入施工は使用機械に特殊なものがなく、材料も注入材のみであるため安価に施工を行うことが可能です。
さらに、施工に関しても注入して固結するのを待つという施工上難しい工程がないため、施工性に優れていることもメリットといえます。
地下水の流入を抑えることができる
薬液注入施工は間隙の多い地盤に対して、薬液を注入して間隙をなくすことで地盤を強固にします。
間隙がなくなるということは地下水が流入してくることがなくなるため、地盤の安定性を確保することが可能となります。
薬液注入施工のデメリット
続いて、薬液注入施工のデメリットです。メリットも多数ある薬液注入施工ですが、デメリットも存在します。
浸透がうまくいかない場合がある
薬液注入施工は注入したがうまく浸透せずに未固結の部分が残ってしまう場合があります。
その場合、未固結の部分が弱点となり出水や崩壊など安全性を損なう可能性があります。
このような事例を起こさないように注入量や注入速度を管理して施工を行います。
注入した材料による影響
注入する材料であるグラウト材はアルカリ性となっており、注入箇所の水質が変わってしまう可能性があります。
また、注入材の圧力により地盤に変位が出るなどの事象も考えれます。
そのため、薬液注入施工の際は常にモニタリング(圧力の上下降や水質の確認)を行い適切な施工管理を行う必要があります。
薬液の品質を確保する必要がある
薬液注入施工では薬液の品質を確保し地盤改良を適切に行う必要があることから薬液の品質確認(薬液の比重・pH)を1日2回程度基本として行う必要があります。
まとめ
薬液注入施工メリット・デメリットを解説いたしました。
薬液注入による改良は構造物の沈下対策に最も有効とされている工法です。傾いた住宅などで傾きを修正する目的で薬液注入施工を行うこともあります。
家に住んだままでも影響なく工事ができるので、騒音・振動も気にせず日常生活を送ることも可能です。
自分で住宅を購入する際には地盤の状況やそれに対する対応を確認することは自分の生活や命を守ることにもつながりますので、気になる方は確認するようにしてみてください。