バイブロハンマは、基礎工事の際の杭打ちに威力を発揮する建設機械です。
この記事では、バイブロハンマを使用するメリット・デメリットをまとめます。これからバイブロハンマを導入・使用する方のお役に立てば嬉しいです。
1 バイブロハンマのメリット
1-1 打ち込む杭の変質が少ない
従来の杭打ちは、杭の上から重さ数トンもの重りを振り下ろして打ち込む方法が主流でした。
従来の方法は杭を打つパワーに優れていますが、同時に杭に掛かる衝撃が大きく、杭が曲がったり破損したりするリスクもありました。
バイブロハンマは、細かな振動を地面に伝え、地面を流動化させる方法で杭を埋め込みます。杭にかかる衝撃は大きくないので、杭の変質をかなり避けることができます。
杭への衝撃を小さくできるので、バイブロハンマでは「鋼矢板」と呼ばれる鉄板を曲げたような形のものを埋め込むこともできます。
1-2 打込だけではなく、引抜きも可能
杭打機では杭を打ち込むことはできますが、引き抜くことは基本的にできません。仮設のために鋼矢板を埋め込んだ場合などは、引き抜くための機械が別途必要になります。
バイブロハンマなら、杭の打込だけでなく引抜きもできます。余分な機械を準備する必要がなく、コストカットに大きく貢献します。
1-3 騒音が少ない
杭打機で杭を打ち込む場合、ネックになるのは騒音。
ハンマで杭を打ち込む場合、発生する騒音は90~100デシベルほどと言われています。これは電車のガード下に相当する騒音で、騒音規制法という法律によって規制の対象となる場合さえあります。
バイブロハンマを使用した場合、発生する騒音を80デシベル前後まで削減することができます。騒音規制にも引っかかりにくく、対策もしやすくなります。
騒音対策の施されたバイブロハンマも存在します。さらに騒音を減らしたい場合には、こういったバイブロハンマを用いることもできます。
2 バイブロハンマのデメリット
2-1 振動対策が必要になる
バイブロハンマは振動を利用して杭を埋め込む機械です、当然、現場の周辺にも振動が伝わってしまいます。
環境省によると、7メートル離れた場所で70~90デシベルの振動が伝わるようです。これは地震で言うと「震度3」に匹敵するもの。
バイブロハンマを使用して工事を行う際は、近隣への振動対策がどうしても必要になります。具体的には、作業を周知しておくことや作業時間帯の調整といった対策が取れます。
3 まとめ
バイブロハンマは、従来の杭打機ならデメリットとなっていた部分をカバーできる優れた道具です。杭の変質を防ぎ、一台で引抜き作業まで完結でき、騒音も抑えることができます。
デメリットとして、振動対策が必要になることが挙げられます。現場周辺への周知・時間帯の調整といった対策を施すことで、バイブロハンマの持つメリットを最大限活かすことができます。