鉄道クレーンを運転できるようになるには、どのような過程を経ていく必要があるのでしょうか。
鉄道クレーンの運転に必要な能力や資格は何でしょうか。
ここでは鉄道クレーンを運転できるようになるまでの流れを徹底解説します。
鉄道クレーンの運転には多くのステップを踏むことが必要
鉄道クレーンを運転することは選ばれた人物しか認められません。
まず鉄道クレーンを運転できるようになるには、鉄道会社に就職する必要があります。
特に、正真正銘の鉄道クレーンはJR東日本の東京工事事務所にのみ所属しているので、そこに配属されることが鉄道クレーン運転士になる必須条件です。
そのためには、国家資格である「移動式クレーン運転士免許」を学生のうちに取得すると就職活動時に高く評価されるため、大きな一歩になります。
晴れて東京工事事務所に配属されたとしても、そこからまだ多くのステップを踏んでいかなければ、念願の鉄道クレーン運転士になることはできません。
鉄道クレーンを運転できるようになるために必要な資格・知識や能力、どのような訓練を受けるかなどを見てみましょう。
鉄道クレーンを運転するために必要な資格や知識
鉄道クレーンを運転するためには、まず国家資格である「移動式クレーン運転士免許」を取得しなければなりません。
ただし、国家資格を取得したといっても、鉄道クレーンを運転するための入口に立ったにすぎないので、そこから実務経験を重ねていかなければなりません。
以下で、移動式クレーン運転士免許や、その他の資格や知識について詳細をご紹介します。
できれば学生のうちに取得したい「移動式クレーン運転士免許」
鉄道クレーンの運転士になりたい人は、JR東日本の東京工事事務所に配属される必要があります。
そのためには学生のうちに移動式クレーン運転士免許を取得してしまうことが就職に有利になります。
移動式クレーン運転士免許を取得するためには、建設関係の資格取得スクールに通うことが近道ですが、最低でも10万円以上の受講料が必要です。
移動式クレーン運転士免許は未成年でも取得することができ、18歳になると免許の交付を受けることができます。
その他、持っていると有利な資格や知識は?
鉄道クレーンを運転するために必須ではありませんが、持っていると就職に有利になったり、作業の役に立つ可能性が高い資格や知識がいくつかあります。
まず、鉄道クレーンはディーゼルエンジンを動力としているため、内燃機関の知識を持っていると作業するうえで役に立つ可能性があります。
そのため、機械科の学校を卒業していると就職が有利になる可能性があります。
また、鉄道クレーンの運転席には電気系統が張り巡らされており、電気の知識があると作業が有利になるため、電気工事士などの資格を所有していると評価される可能性があります。
さらに、鉄道クレーンは建設機械の一種なので、建設機械の扱いに慣れておくためには、「車両系建設機械運転技能講習」を受けておくことも有利になるでしょう。
鉄道クレーンを運転するために必要な能力
鉄道クレーンを運転するための入り口はJR東日本の東京工事事務所に配属されることであり、それだけでも狭き門です。
もし、努力の甲斐があって配属されても、すぐに鉄道クレーンを運転させてもらえるわけではなく、そこにたどりつくために身に付けておきたい能力があります。
以下で、鉄道クレーンを運転するために必要な能力をそれぞれ詳細にご紹介します。
視野の広さ
まず、鉄道クレーンに限らず建設機械を運転するために必要な資質は、事故を未然に防ぐ視野の広さです。
普段から広い視野で業務を遂行する癖を付け、先を読んで行動することを心掛けましょう。
クレーンの補助的業務である玉掛け作業を担当することもあるでしょうが、その経験も将来鉄道クレーンの運転を担当することになったときに生きてきます。
作業においてのコミュニケーション
建設作業で重要なものの1つにコミュニケーション能力があります。
ここで言うコミュニケーション能力とは、皆と仲良くなる能力のことではなく、チームで作業する意識の高さを言います。
作業前のミーティングでは作業の目的や注意点を確実に理解し、不明点は必ず上司に相談し、作業中はリーダーの指示に従いチームで行動することを心掛けることが重要です。
安全に対する意識を高める
建設作業において最も基本的な安全第一の心掛けは、どんなにクレーン運転の技術や知識を身につけても最優先とすべき事柄です。
継続的な安全教育を受け、常に安全に対する意識を高く持つことが必要です。
おそらく職場では先輩から過去の危険な経験を聞くこともあるはずで、安全に対する意識を高めるためにもそのような雑談でも疎かにしてはなりません。
鉄道クレーンの運転には大きな責任が伴うため、運転士が安全意識の高い人物かどうかは常に見られています。
補助的な業務も含め、どんな簡単な業務であっても集中して作業し、安全第一を心掛ける癖を付けておきましょう。
鉄道クレーンを運転するための訓練
ようやく鉄道クレーンの運転をさせてもらえることになったら、次は実際に運転席に搭乗しての訓練です。
熟練の運転士の横に立って操縦を観察したり、実機を運転させてもらって訓練したり、シミュレーターで訓練を積むことになります。
それらの訓練を経て、問題がなければ実際に現場での作業を任されることになります。
熟練の運転士の動きを観察する
鉄道クレーン運転の見習いの立場になったとき、熟練の運転士の横に立たせてもらえることがあると思います。
熟練の運転士がどのような運転をするのか、どこに視点を向けているかなどを横に立って観察し、自分が運転するときに動きを真似してみることも上達のための1つの方法です。
鉄道クレーンの実機を運転して訓練する
JR東日本の東京工事事務所に所属する鉄道クレーンは、待機時は川崎貨物駅にて管理されています。
現場に出る前の見習い運転士は、そこで実機に搭乗して訓練を受けることになります。
現場での作業に近い状況を用意してもらうことはなかなか難しいでしょうが、実際に荷を吊ったり移動させたりして操作の勘を養います。
実機に搭乗することは貴重な機会なので、その経験を無駄にすることなく集中して訓練に臨みましょう。
シミュレーターで訓練を受ける
東京工事事務所では鉄道クレーンの運転技術の向上のためにシミュレーターを導入しており、実機さながらの訓練を受けることが可能です。
経験の浅いオペレーターにとっては、運転席と荷との距離感をつかむだけでも良い経験になるはずで、シミュレーターといえども侮れません。
このシミュレーターでは、鉄道クレーンが転倒したときの復旧を体験できるなど、実機では不可能なことまで訓練することができます。
現場に出て作業経験を積む
晴れて鉄道クレーンの運転士として現場に出ることができたら、あとは経験を積むだけです。
鉄道インフラの維持管理という重責を担っている誇りを胸に、作業に臨んでください。
まとめ
鉄道クレーンを運転できるようになるまでの簡単な流れは、以下のようになります。
1.移動式クレーン運転士免許を取得する
2.JR東日本に就職し、東京工事事務所に配属される
3.クレーン運転士の補助的業務をこなして経験を積む
4.シミュレーターを含むクレーン運転の訓練を受ける
5.実際に現場に出て鉄道クレーンの運転経験を積む
鉄道クレーンの運転には単なる操作の経験だけではなく、安全に対する意識の高さやチーム作業に対する理解の深さなども求められます。
重い責任を背負って作業する業務なので、人間性を磨くことも怠ってはなりません。