アルカリ水中和装置って何?概要とメリット・デメリットの特徴を解説

アルカリ水中和装置

皆さん、アルカリ水中和装置という装置を聞いたことはあるでしょうか。

聞いたことがない方が大半だと思いますが、コンクリートを使用する工事現場で必要な装置なのです。

今回はそんなアルカリ水中和装置の概要とメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。

そもそもアルカリ水中和装置とは?

リバースサーキュレーションドリル

アルカリ水中和装置とはどういった装置なのでしょうか。この装置は名前の通り、アルカリ水を中和させる装置です。

アルカリとは中学生で習う酸性・アルカリ性のアルカリ(塩基性)ですね。

水素イオン指数いわゆる「ph」が8以上のものをアルカリ性と定義しており、数字が大きくなるほどアルカリ性が強いと表現します。

理科の実験でリトマス試験紙を使ったことがある方は青色~紫色で示されるといえばわかりやすいかもしれません。

ではなぜ建設現場ではアルカリ水を中和する必要があるのかというとコンクリートがアルカリ性だからです。

コンクリート構造物を造る際にコンクリートが混じった排水が発生したり、雨などでコンクリート構造物の表面からアルカリ性を含んだ物質が溶解することでアルカリ性の水を発生します。

この水が河川などに流れてしまうと環境へ悪影響を与えてしまうため、河川に放流する工事用排水には基準が設けられているのです。

この基準値(河川の場合㏗が5.8~8.6)を満足できるよう「アルカリ水中和装置」を用いて基準値を満足した工事用排水を河川に放流するのです。

ちなみに、コンクリートのアルカリ性であるph10~12は河川の魚が死んでしまうほどのアルカリ性です。

そのため、工事現場では「アルカリ水中和装置」は建設現場では欠かせない装置なのです。

アルカリ水中和装置はどうやって中和している?

アースオーガ

次にアルカリ水中和装置の使い方について解説していきます。

まずコンクリートを用いて造った構造物の工事現場ではアルカリ成分が水に溶解しアルカリ性の排水となります。その水を中和するための水槽に貯めます。

この貯めた水槽に炭酸ガスもしくは酸性の薬剤を混ぜることで排水を中性にすることができるのです。

中和した水は放水路を通って河川または海などに放流します。

河川や海に放流する際には管理している自治体などに事前に確認を行う必要があります。

アルカリ水中和装置のメリット・デメリットは?

クレーン装置付トラックのメリットデメリット

次にアルカリ水中和装置のメリット・デメリットです。今回は「炭酸ガスによる中和」と「薬品による中和」の2パターンを解説いたします。

炭酸ガスによる中和

炭酸ガスでの中和方法は水に溶解しているコンクリート中の水酸化カルシウムと水に注入した炭酸ガスで生成した炭酸により中和を行っています。

メリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 塩酸や硫酸塩など酸性の薬剤より取扱が容易であり、過剰注入を行ってもphが下がりすぎない
  • 腐食性ガスや有害物質が発生しないため、環境への害が少ない
  • 危険性が少なく公害などを発生することがないため安全に使用できる
  • 反応速度が速く処理量が少なければ設置面積が少なくて済む

デメリット

  • 薬剤の単価などにより薬剤方式に比べてm3あたりのコストが高い
  • 高圧ボンベの取り扱いに注意が必要

薬剤による中和

酸性の薬剤を用いて中性にする方法です。メリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 薬剤が安価であるためm3あたりのコストが安い
  • 比較的狭いスペースでも処理が可能

デメリット

  • 薬剤の過剰注入を行うと㏗が下がりすぎて排水基準を満たさない場合がある
  • 強酸性の薬剤であるため取り扱いに注意が必要

「炭酸ガスによる中和」と「薬品による中和」2パターンのメリット・デメリットを解説しました。

ではどちらの方法が使用されているのでしょうか。昔は「薬剤による中和」が主でしたが、近年は安全性や処理スピードといった面を考慮して「炭酸ガスによる中和」により処理されることが多いです。

まとめ

アルカリ水中和装置について説明してきましたがいかがだったでしょうか。

今回は建設現場で使用されるアルカリ性の工事用排水の説明がメインでしたが中和装置は工事用排水以外にも工場(食品工場)や実験場などでも使用されています。

食品工場では酸性を中性にする場合もあるので、アルカリ性の薬剤を用いて中性にして排水を行います。

このように中和装置は皆さんの生活に密接している装置なのです。

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