リバースサーキュレーションドリルをご存知でしょうか?
基礎作りのために地中深く掘削する現場では必要不可欠な建設機械です。
ここではリバースサーキュレーションドリルの特徴を徹底解説します。
リバースサーキュレーションドリルとは
リバースサーキュレーションドリルとは基礎杭特殊ビットを回転させながら掘削残土を泥水ごと逆循環(リバース)させることで、断続的に掘削が可能になった拡底掘削機です。
海上建設物の大型化や岩盤層の掘削が必要となったことでリバースサーキュレーションドリルが開発されました。
ここではリバースサーキュレーションドリルの歴史について簡単に紹介します。
リバースサーキュレーションの歴史
1964年当時の日立製作所とザルツギッター社においてリバースサーキュレーション技術が提携されました。
翌年の1965年に当時の加藤製作所にてリバースサーキュレーションドリルが開発され、同年、日立製作所にてリバースサーキュレーションドリルが本格的に販売されるようになりました。
その後、海上ホテル建設の杭施工用としてS500R大口径岩盤掘削用リバースサーキュレーションドリルを開発・導入され順調に稼働を続けることになります。
この施工方法は大深度掘削にも対応できるので「リバースサーキュレーション工法」として日本国内に広く普及しました。
リバースサーキュレーションドリルの特徴
リバースサーキュレーションドリルは施工する環境に柔軟に対応できるように、機動力があるもの、騒音に配慮したものなど、様々なタイプが開発されています。
以下に、リバースサーキュレーションドリルの特徴を紹介します。
日立建機株式会社製リバースサーキュレーションドリル(S500R)
開発のきっかけは基礎工事が特に難儀とされている海上ホテル建設の基礎杭施工用として「S500R大口径岩盤掘削用リバースサーキュレーションドリルが開発されました。
S500R岩盤掘削機の主な仕様として、ロータリテーブル式の掘削駆動方式で口径は最大2.5m、深さは標準で50mとなっています。
ケリースラスターとロータリテーブルとでドリルストリングを支持している外観をしており、主掘削は、くさび作用による破砕や圧壊ですが、カッタの自由転動時とビット中心位置の差から生ずる回転のズレによる掘削作用もあります。
ローラカッタは岩質により最も適したカッタおよびチップを選定することが可能です。
東亜利根ボーリング製リバースサーキュレーションドリル(TBHシリーズ)
TBHシリーズの共通スペックとしてコンパクトな機体が印象的です。
その見た目の通り狭い場所、高さ制限の場所などでの施工が可能です。
運搬や組立ても比較的スムーズに出来るので市街地での施工も得意です。
コンパクトな機体でもパワーは十分で、孔底のスライム処理や油圧フィード機構により、ビット荷重のコントロールが可能です。
そして、トロコビットの特殊な掘削機能により、硬質地盤の掘削に威力を発揮します。
機種によってはクローラー(履帯)が搭載され、スムーズな移動が可能なタイプや掘削スピードに特化したもの、さらにコンパクトな機体など様々です。
建研工業株式会社製コンパクトリバース(C-JET18)
コンパクトリバースという名の通り機体重量は約4tと軽量・コンパクトな仕様になっています。
専用の特殊ケリーロッドとの組合せで機械全高1.8m、空頭が2mあれば掘削作業が可能です。
既存の工法では機械自体が大きく仮設工事にかかる工期・コストが大きくなる課題がありましたが、見事に解決することができました。
コンパクトであることが特徴の本機ですが、それだけではなくφ0.8~φ3.0mの大口径杭の施工が可能で、施工状況を視覚化し記録できる掘削管理システムを搭載しているので、高い施工能力と高い施工管理を兼ね備えた機体となっています。
リバースサーキュレーションドリルの使い方
リバースサーキュレーションドリルを導入した工法は以下の通りです。
- 杭芯にスタンドパイプの中心を合わせ、建込みを行います。
- ハンマークラブにてスタンドパイプ内側を掘削し、必要長さを建込みます。
- ケリーバーを回転させ、ビットで切削し支持層確認後に根入れ掘削を行います。
- 掘削完了後はビットを空回しさせながら安定液を循環させ一次スライム処理を行います。
- 鉄筋かごを孔内中央に鉛直に建込みます。
- トレミー菅を挿入します。
- トレミー菅とケリーバーを接続し、サクションポンプなどで二次スライム処理を行います。
- コンクリートを所定の高さまで打込みます。
- スタンドパイプの引抜きを行います。
- 空堀り部の埋戻しを行います。
まとめ
リバースサーキュレーションドリルが開発され岩盤層の掘削が可能になりました。
近年では、機体の機動力向上を図りながらも、さらに大口径・大深度の掘削が可能になるように研究がすすめられています。
地震国である日本において、あらゆる土木・建築構造物の基礎分野は非常に重要であり、関連する機械技術業界・学会などでは研究や開発が行われています。