杭抜き機は、基礎工事で地中深くに埋めた杭を引き抜くための機械です。
この記事では、杭抜き機を使用する際のメリット・デメリットをまとめます。
とりわけデメリットに関しては、対策次第で十分カバーできる場合もあります。杭抜き機を使用するかどうか迷っておられる方のお役に立てば幸いです。
1 杭抜き機のメリット
1-1 土地の売却価格がが下がることを防げる
各自治体の条例等が許すなら、地中に杭が残ったままにしておくこともできます。しかしその場合、新しい建造物を作る際に地中の杭が邪魔になる場合があります。
こうしたリスクのため、杭が残存している土地は買い手がつきにくく、売値が下がってしまう場合が少なくありません。買い手がその土地を避け、なかなか売れないというケースもあります。
杭抜き機を使用して処理しておけば、こうしたリスクを避け、取得した土地を賢く運用することができます。
1-2 状況に合わせ、様々な杭抜き機・工法を選べる
杭抜きの工法として一般的なのは、「オーガーケーシング工法」と言われるものです。近年ではそれに加え、様々な杭抜きの工法が開発されています。
騒音や振動が発生しにくい工法・杭が地中で折れても全除去できる工法・地盤に影響が少ない工法・・・様々な工法の中から、現場へのダメージやリスクが少ない工法を選べます。杭抜き機も、選んだ工法に応じたものを選択します。
このように、現場状況にあった杭抜き機を選んで柔軟に対応できるので、リスクを最小限に抑えられるのもメリットのひとつと言えます。
2 杭抜き機のデメリット
2-1 地中に杭が残る可能性
杭抜き機や選んだ工法によっては、杭が完全に引き抜けず、一部が地中に残留してしまう場合があります。
残留した杭は、その土地を再利用する際に障害物となってしまいます。土地を転売する場合、これが賠償問題に発展するケースさえあります。
この問題は、選ぶ工法と杭抜き機によってある程度解消する場合があります。例えば、杭の全長をすっぽりと覆ってから引き抜く「ケーシング工法」で杭を抜けば、杭の残留リスクをかなり減らすことができます。
2-2 杭を抜いたあと、地盤が弱くなる可能性
杭抜き機で杭を抜いた穴には、土砂やセメントミルクを充填して「埋戻し」を行いきます。しかし、この埋戻しが不十分なために地盤が弱くなってしまう場合があります。十分に充填剤を埋めたつもりでも、穴の下部に空洞ができてしまう場合もあります。
この問題の厄介なところは、上から見れば完全に穴が埋まっているように見えることです。そのため、新たな建造物を建設する時まで問題が放置されてしまうこともあります。
埋め戻しの充填剤を確実に注入できる工法と、それに対応した杭抜き機を使用することでトラブルを減らすことができます。
2-3 費用が高額になる
杭抜き機を使用して杭を抜くには、当然コストが掛かります。杭抜き機や他の重機、作業員の人件費等です。
なるべくコストを抑えたい場合、状況が許すなら杭を途中で断ち切る、もしくは地中に残しておくという選択肢を取る場合もあります。
ただし、自治体によっては杭を取りきらなければならない場合もあるので注意が必要です。
杭を残しておくことが許される場合でも、その土地を転売する場合には杭が残っている旨を申告しなければならず、売価が下がるというデメリットもあります。
3 まとめ
杭抜き機を使用することによって、その土地の売却価格が下がってしまうのを防げます。また、様々な杭抜き機や工法を選べるので、状況に合わせて最善の杭抜きを行うこともできます。
杭抜き機を使用するデメリットとして、杭が地中に残ったり、地盤を弱めてしまうリスクも存在します。そうしたリスクを最小限に抑えられる工法・杭抜き機を選ぶことが必要です。
また、杭抜きにかかる費用は安くありません。自治体の条例や土地売却価格などと照らし合わせながら、杭抜き機を使用するかどうか決定する必要があります。