鉄道クレーンの操作方法と注意点を徹底解説

鉄道クレーンの操作方法は難しいと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。

また、鉄道クレーンを操作するときに注意すべき点は何でしょうか。

ここでは鉄道クレーンの操作方法と注意点を徹底解説します。

鉄道クレーンの操作は熟練が必要

鉄道クレーンの操作方法は移動式クレーンと基本的には大差ありませんが、鉄道クレーンならではの操作もあるため、熟練が必要です。

巨大なブームを操作するので、日頃の訓練によって車両感覚や荷との距離感をつかむ必要があり、繊細な操作も要求されます。

実機に搭乗して経験を積むことも必要ですが、鉄道クレーンを所有する東京工事事務所では運転シミュレーターを導入しており、実機さながらの訓練を積むことができます。

鉄道クレーンの操作方法

ここでは鉄道クレーンの操作方法をご紹介します。

鉄道クレーンの基本的な操作方法は移動式クレーンと同じように、座席の左右前方に設置されたレバーを操作して運転します。

右側レバーでは吊りワイヤーの巻き上げを行い、左側レバーではブームの伸縮やジブの起伏、旋回などを行えます。

鉄道クレーンの操作は、屋外に立つ合図者の指示に従って行い、手による合図または旗による合図を受けて操作します。

合図者の位置が見えにくい場合は無線を使用して合図を受ける場合もあります。

鉄道クレーンの操縦席にはワイヤーの巻き上げ速度を表示するメーターが備わっているので、異常な巻き上げが行われないように注視することも重要です。

また、鉄道クレーンの操縦席には風速計も設けられており、屋外の風速には常に気を配っておく必要があります。

万が一、危険な状況になったときのための非常停止ボタンがあり、これを押すことによって全ての動作を停止することができます。

鉄道クレーンの運転をシミュレーターで体験

JR東日本の東京工事事務所ではドイツ製の最新鋭鉄道クレーン「KRC810N」を2台所有しており、2015年から東日本各地の現場で活躍しています。

また、東京工事事務所では鉄道クレーン特有の作業スキルを身につけるため、2019年から訓練用シミュレーターを導入し、若手オペレーターの育成にも力を入れています。

シミュレーターが導入されるまでは川崎貨物駅の鉄道クレーンを管理する場所で実機に搭乗して訓練が行われていました。

しかし鉄道クレーンが現場に出向していて不在の時は訓練することができず、若手オペレーターの育成に関して課題を抱えていました。

シミュレーターの導入で一気に訓練の敷居が下がり、また実物の鉄道クレーンでは体験できない状況を想定した高度な訓練も行えるようになりました。

【シミュレーターを使用した鉄道クレーンの運転訓練】

【引用:建設通信新聞DIGITAL

指揮者とオペレーターのペアで行われる作業もある

鉄道クレーン「KRC810N」を使用した作業には、オペレーター単独で操作するには困難な作業もあり、その場合は運転席の横に作業の指揮者を配置します。

ブームを伸縮したり、旋回する作業においては指揮者とコミュニケーションを取りながら安全第一で確実に作業を進めます。

また、荷を吊った状態で移動する場合があることも鉄道クレーンの特徴で、その場合は車両の運転手との十分なコミュニケーションも必要です。

鉄道クレーンを操作するときの注意点

鉄道クレーンの操作をするときにはいくつか注意点があります。

どんなクレーンを運転するときにも注意すべき点ではありますが、玉掛けの確認と地切りは重要で、安全に作業するためには二重三重の安全確認が必要です。

以下で、鉄道クレーンを操作するときの注意点をそれぞれ詳細にご紹介します。

確実に玉掛け作業が行われているか確認する

吊り荷をワイヤーで確実に吊るためには玉掛けが重要で、安全講習を受けた作業者が玉掛けを行わなければなりません。

玉掛け作業を実行するのはオペレーターではありませんが、確実に玉掛け作業が行われたことを確認することはオペレーターにも必要なことです。

地切りを怠らない

クレーン作業において基本である地切りは、有資格者ならば心得ていることではありますが、これを怠ると大事故につながる可能性があるため、改めて注意が必要です。

特に注意しなければならないのは、荷の近くで玉掛けをする作業員がいる場合です。

作業員が荷の近くにいるときには絶対に地切りを行わないよう十分に注意する必要があります。

万が一、玉掛けの状態に不備があったり、クレーンのブームの位置に問題があると、地切りの際に荷が大きく揺れ、作業員を負傷させてしまう恐れがあります。

指揮者とのコミュニケーション

鉄道クレーンを運転する際にはオペレーター単独での運転の他に、指揮者がオペレーターの横にいて指示を出しながら作業することがあります。

この場合はオペレーターが決して独断で判断して作業せず、指揮者の指示を確実に実行することが求められます。

指揮者とのコミュニケーションに集中し、指示を復唱して実行することが重要です。

操作レバーの誤操作に注意

鉄道クレーンはレバー1つで巨大な荷を吊り上げることができるため、オペレーターは特に誤操作には注意しなければなりません。

作業中には架線の通電を遮断するので感電することはありませんが、それでも巨大なブームが架線に触れると破損させてしまう可能性があるので特に注意が必要です。

鉄道クレーンの操作レバーは動作が硬いので、1つ1つの操作に集中して確実に行うようにしましょう。

安全第一

建設作業においては、どのように切羽詰まった状況であっても安全よりも優先される事柄はありません。

鉄道クレーンの作業には大きな危険を伴うので、わずかな気のゆるみが大事故を引き起こす可能性があることを常に頭に入れておく必要があります。

まとめ

鉄道クレーンの操作方法は移動式クレーンと基本的には同じですが、鉄道クレーンならではの作業もいくつか存在し、高い熟練度が必要です。

鉄道クレーンを操作する上での注意点も基本的には移動式クレーンとほぼ同じですが、怠ると大事故につながるので基本を疎かにはできません。

何よりも安全第一で作業することが鉄道クレーンの操作でも重要なのです。

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