コンクリート床仕上げロボットを上手く活用する方法はあるのでしょうか。
作業員はどのような手順でロボットを動作させればよいのでしょうか。
ここではシチュエーション別にコンクリート床仕上げロボットの活用法をまとめました。
コンクリート床仕上げロボットには主に2つの活用法がある
コンクリート床仕上げは、従来は土間工と呼ばれる作業員が手作業で行っていましたが、過酷な肉体労働が必要なため、省力化するためにロボットが導入されました。
コンクリート床仕上げロボットは大変便利ですが、その能力を十分に引き出すには多少のコツが必要です。
コンクリート床仕上げロボットの作業方法は、走行範囲を指定する方法と、走行ルートを指定する方法があります。
また、高度な自動走行が可能なコンクリート床仕上げロボットの場合は、障害物を感知して避けることができます。
走行範囲と走行ルートそれぞれを指定するのはどのような作業の場合か、コンクリート床仕上げロボットの活用法を見てみましょう。
走行範囲を指定するコンクリート床仕上げ
コンクリート床仕上げロボットの走行範囲を指定する方法では、まず最初に土間工がリモコンでロボットを操作し、走行範囲を決めます。
走行範囲の決め方は、土間工が走行範囲の外周をロボットに移動させ、一周したところで半自動運転に切り替えます。
するとロボットに内蔵されているコンピューターが自動で走行範囲内のルートを計算し、走行を開始します。
インプットされた走行範囲を塗りつぶすように往復走行を繰り返し、やがて走行範囲の全てを走り終えると作業完了となります。
このような走行範囲を指定するコンクリート床仕上げ作業は、ビルのオフィスや工場の室内など、障害物が少なく単調な平面の場所をならす場合に向いています。
以下で、走行範囲を指定するコンクリート床仕上げについて、それぞれ詳細にご紹介します。
ビルのオフィスのコンクリート床仕上げ作業
ビルのオフィスの床をならす作業は障害物が少なく、壁際に柱がある程度で単調な平面であることが多いです。
ビルのオフィスのコンクリート床仕上げを行う場合は、あらかじめ走行範囲を指定する方法が効率よく作業を進めることができるでしょう。
ビルのオフィスは1つ1つの作業範囲はそれほど広くありませんが、大きなビルでは多くの部屋が存在していることもあり、作業完了のたびに移動が必要になります。
コンクリート床仕上げロボットは従来の床仕上げ用機械に比べて軽量とはいえ、運搬には最低2人の作業員が必要で、ある程度の体力が必要となるでしょう。
工場のコンクリート床仕上げ作業
工場もオフィスと同様に単調な平面であることが多く、走行範囲を指定する方法が効率よく作業を進めることができます。
工場の室内は広さが工場の規模によってさまざまですが、基本的にビルのオフィスよりも広範囲に作業することが求められることが多くなります。
大規模な工場を作業する場合はバッテリーの容量を使い切ってしまうほど広い範囲の場合もあるので、中途半端な場所で作業が終わらないように計画的に行う必要があります。
工場は場所によっては少し勾配がついている場合もあるので、使用するコンクリート床仕上げロボットで対応が可能か把握しておくとよいでしょう。
橋梁工事のコンクリート床仕上げ作業
単調な区画で広範囲を作業するケースとしては、橋梁工事のコンクリート床仕上げ作業も該当します。
橋梁工事の作業範囲は最も単調ですが、少し勾配がついていて完全に平坦ではないところが特徴です。
橋の規模によって作業範囲はさまざまですが、大規模な橋梁工事の場合は長時間にわたる作業となり、バッテリーの容量を使い切ってしまうこともあるでしょう。
工場での作業と同じように中途半端な場所で作業が終わらないように計画的に床仕上げ作業を行う必要があります。
また、橋梁工事は屋外で行うため、天候にも注意しておく必要があります。
橋梁工事には鹿島の「NEWコテキング」がすでに現場で稼働しており、大成建設も橋梁工事に「T-iROBO Slab Finisher」を積極的に使用していくと宣言を出しています。
走行ルートを指定するコンクリート床仕上げ
障害物が多いエリアの床仕上げを行う場合は複雑なルートになるため、あらかじめ走行ルートを指定する必要があります。
その場合はまず、土間工が無線操作で一度ロボットを走行ルート通りに走らせ、ルートを覚えさせます。
二回目以降はロボットがそのルート通りに走るので、何度か走行を繰り返して床仕上げ作業を行っていきます。
走行ルートを指定するコンクリート床仕上げを行う場所には、障害物が多いビルの地下エリアや倉庫、ショッピングセンターなどがあります。
以下で、走行ルートを指定するコンクリート床仕上げについて、それぞれ詳細にご紹介します。
建物の地下部
大規模なビルの地下部にはさまざまな設備が収納された部屋あり、代表的なエリアは駐車場ですが、柱が多くロボットのスムーズな走行は困難です。
他にも地下にはたとえば電気設備室やポンプ室、ボイラー室、給水タンク室、消防設備を備えた部屋などたくさんの部屋があります。
それらの部屋は複雑に入り組んでおり、また障害物も多いので、コンクリート床仕上げ作業も一筋縄ではいきません。
建物の地下部でコンクリート床仕上げを行う場合は、まず土間工が走行ルートを指定する方法が効率よく作業できます。
倉庫
倉庫内も柱や配管などの障害物が多く、コンクリート床仕上げロボットの走行が複雑なルートになりがちです。
倉庫には段差がある場所もあり、ロボットは段差を超えることができないので、同じ高さの範囲ごとに床仕上げを行う必要があります。
倉庫のコンクリート床仕上げを行う場合も、まず土間工が走行ルートを指定する方法が良いでしょう。
ショッピングセンター
多数の売場を抱え、階段やエスカレーターなどが多いショッピングセンターも、複雑に入り組んでいる建物の1つです。
柱が多く、特に大型のショッピングモールは店舗エリアも細かく区切られており、ビルの地下部と同じように電気室やポンプ室などの多くの設備管理室を抱えています。
ショッピングセンターのコンクリート床仕上げを行う場合も、まず土間工が走行ルートを指定する方法のほうが効率よく作業を進められるでしょう。
今後導入されるコンクリート床仕上げロボット活用法
エフエージェイが開発したコンクリート床仕上げロボットは、レーザー光線と磁力センサーを使用して作業エリアを自動で感知し、障害物を避けることができます。
これにより他の機種のように土間工がロボットの走行ルートを指定する必要がないので、高度な自動走行を行うことができます。
エフエージェイのコンクリート床仕上げロボットのこのような特徴は、危険な場所で土間工が入ることができない場合、たとえば原子力発電所などでも作業できる可能性があります。
一方で大成建設の「T-iROBO Slab Finisher」は、倉庫のレベリング作業に応用可能かという問い合わせが多く寄せられているそうです。
倉庫のレベリングは精巧な技術が必要なため、従来のコンクリート床仕上げよりさらに緻密な作業を行う必要があります。
「T-iROBO Slab Finisher」は日々改良が行われているので、いずれはそのような高度な技術も応用される日が来るかもしれません。
コンクリート床仕上げロボットは、竹中工務店も「サーフロボ」を開発しており、建設業界各社がますますしのぎを削っていくでしょう。
まとめ
コンクリート床仕上げロボットの作業には大きく分けて、走行範囲を指定する作業と、走行ルートを指定する作業の2つがあります。
床仕上げを行う場所の特徴をつかみ、どちらの方法で作業を行うべきか判断する必要があります。
ロボットが床仕上げを行う際に障害物を避ける技術は研究され続けており、今後はより高度な動作が可能なロボットが現場で活躍する日がやってくるでしょう。