バイブロハンマも油圧ハンマも、基礎工事の現場で活躍する建設機械。どちらも杭を打つ際に使用されるものですが、それぞれに特徴が異なります。
この記事では、バイブロハンマ・油圧ハンマの違いをまとめています。現場にどちらを導入するか、迷っている方の参考になれば幸いです。
1 違い①:騒音の大きさ
油圧ハンマは、重さ数トンもの重り(ラム)を振り上げ、杭に打ち付けていきます。当然、杭を打つ音はかなり大きくなります。
油圧ハンマで作業する際、作業時の音量は90~100デシベル前後と言われています。電車の通るガード下に相当する、非常に大きい音です。
一方、バイブロハンマは振動により地面を流動化させ、杭を埋め込んでいく方式です。発生する騒音は80デシベル前後まで抑えることができます。
作業時の騒音がネックになる場合には、可能ならバイブロハンマを使うことで問題を最小限にすることができます。
しかし、どうしても油圧ハンマしか使用できない場合もあります。その場合には、油圧ハンマの防音装置を使用することもできます。これにより、油圧ハンマでの作業音を5デシベル前後低減させることができます。
2 違い②:パワー
油圧ハンマの大きなメリットは、なんと言ってもそのパワー。
1打撃あたりの貫入量も、打撃回数も大きいので、作業をサクサクと進めることができます。結果的に、作業日数の短縮や経費の削減にも繋げられます。
もちろん、バイブロハンマのパワーが弱いわけではありません。ただ、打ち込む杭の変質を防ぎながらしなやかに杭打ちをできるのがバイブロハンマのメリット。
あまりにも強い力をかけると変質しやすい杭(鋼矢板など)を打ち込む際には、油圧ハンマよりもバイブロハンマのほうが適していると言えるでしょう。
3 違い③:杭の引抜きもできるかどうか
油圧ハンマは杭の打込み専門。基本的に杭の引抜きはできません。しかし、バイブロハンマは杭の引抜きも可能です。
仮設で鋼矢板を打込む場合など、あとで引抜き作業が控えている場合にはバイブロハンマのほうが便利と言えます。余分な機材が必要ない分、コストの削減に繋がります。
一方、建物の基礎工事など、杭の引抜きが想定されていない現場ならばこの点は問題になりません。油圧ハンマのパワーとスピードを活かし、どんどん杭を打っていくことができます。
4 違い④:必要な他の機材
油圧ハンマを使用する場合には、ほとんどの場合に杭打機が別途必要になります。
スタンダードな杭打機として、三点式杭打機がよく用いられます。かなり全長が高い重機なので、現場まで運搬する際には多くの手間とコストが掛かります。
バイブロハンマは、多くの場合クレーンの先端に吊り下げて使用します。
杭打機のような特殊な重機が必要ないので、余分な機材を確保するコストが浮く場合もあります。別の作業でクレーンを使用する場合には、コストカットの観点で考えればこの特徴が大きなメリットとなります。
5 まとめ
騒音の大きさで言えば、バイブロハンマのほうが静かに使用できると言えます。油圧ハンマは打撃時の音量が大きいのがネックになる場合があるかもしれません。
打撃のパワーなら、油圧ハンマの方が優れています。しかし、バイブロハンマは打撃で変質しかねない杭を打ち込むのに適しています。
バイブロハンマは杭の打込みだけではなく、引抜きも可能です。油圧ハンマは杭の打込みしかできませんが、引抜きを想定していない現場ならば特に問題はありません。
油圧ハンマは杭打ち機が必要なのに対し、バイブロハンマはクレーンに吊り下げて使用できます。他の作業でクレーンを使用する場合、バイブロハンマを使用すればコストカットに繋がります。